前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

 日本リーダーパワー史(820)『明治裏面史』 ★ 『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、 インテリジェンス㉟『日本史決定的瞬間の児玉源太郎の決断力⑦』★『日英同盟によって軍艦購入から日本へ運行するまで、英国は日本を助けて、ロシアを妨害してくれたことが日露戦争勝利の要因の1つ』●『児玉、山本権兵衛の『先見の明』と『最強のリーダーシップ』の証明でもあった。』

      2017/06/05

 日本リーダーパワー史(820)『明治裏面史』

『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 リスク管理

インテリジェンス㉟『日本史決定的瞬間の児玉源太郎の決断力

 

この山本海軍大臣の「早期開戦反対論」の厚い壁を児玉はどうやって崩していったのか。

その裏には児玉次長の知謀をつくした勝利の戦略と説得工作があった。

もともと、薩摩の権兵衛と長州の源太郎と言えば喧嘩が強い、さっぱりした気性の豪傑同士であり、ケンカ早かったが、仲直りも早いと有名だった。陸海軍を代表して、才気喚発の両者は、喧々諤々の激しく論争したライバル同士でもあった。

日本リーダーパワー史(819 )『明治裏面史』 ★ 『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス㉞『日本史決定的瞬間の児玉源太郎の決断力⑥』★『明治32年1月、山本権兵衛海相は『陸主海従』の大本営条例の改正を申し出た。』★『この「大本営条例改正」めぐって陸海軍対立はエスカレートが続いたが、児玉参謀次長は解決した』

http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/25084.html

 

1903年(明治36)10月に参謀本部次長に自ら降下し、日露戦争を指導する責任者となった児玉は山本権兵衛の説得するために、「絶対に権兵衛と呼び捨てにしないこと」を心に決めた。

 開戦準備を推進するためには、陸海軍は協力一致して決して喧嘩をしてはならない。海軍を怒らせることは禁物で、自ら率先して、口を慎み部下たちにも模範を示すことを決意して、説得工作に知恵を絞った。

山本海相に対しては1ヵ月前に井口省吾・参謀本部総務部長が訪ねて、陸軍の情報判断を説明し、『このまま推移すると韓国はロシアに専られてしまう』と訴えると「韓国がロシアに奪われても構わん。オレの心配しているのは日本がロシアに奪われることだ」と陸軍案に反対する態度を固執した。陸軍の前に立ちはだかった難物中の難物だった。

それが、両者の会談が一時間もたたないうちに、海軍大臣室のドアが開かれ、山本と児玉が大声で笑いながら、「イヤー、今日は愉快じゃ、愉快じゃ」と出てきたので、待機していた参謀部員はびっくり仰天、児玉次長のその早業に舌を巻いたのである。

児玉次長が出したとおもわれる妥協案は3点であった。

➀大本営条令の改正である。これは山本海相が長年主張して、児玉も陸相時代に断固反対していた改正案だが、日露開戦の危機迫る状況で、従来の方針を180度転換してこれを認めて、従来の陸主海従の制度を陸海軍並列主義として、完全に陸海軍を対等とした、のである。

児玉は「山本海相が開戦準備に同意し、かつ陸海軍協調の線に努力してもらうことができれば、この際は潔く海軍案を採用し、すべては日露戦争の勝利のために陸海軍一体となって全力をあげたい。将来の陸海軍の関係は日露戦勝を獲得してから、ゆっくりと考えた方がよい。」と山本に提案、説得したのである。

②同盟国イギリスの斡旋で、イタリアなどで建造中であった重巡洋艦二隻(後の日進、春日)の調達予算取得が難行中だったのを、児玉は陸軍予算で直ちに購入することに決定した。ロシア側も同様にこれら建造中の軍艦を購入する情勢にだったので先手を打って日本海軍が取得するのに成功した。

当時、海軍は日露戦争に備えて「六六艦隊」といわれる戦艦六隻、重巡洋艦六隻を主力艦とする艦隊編成に全力を尽していた。しかし、資金力に勝るロシアもその後は急ピッチで極東艦隊を増強し、六六艦隊を完全に凌駕して。海軍は頭を悩ませていた。

海軍情報員の至急電で、アルゼンチン国発注の大型装甲巡洋艦二隻がイタリヤのベネチア港で近く竣工の予定で、譲渡価格は一千六百万円である、ロシアも同様の購入の交渉中なので、日本が買う決心があるならば即刻回答せよとの、極秘情報が入った。

 海軍省が資金の即時払いを大蔵省に要求したが、現在ロンドンで金策中の外貨資金は約二千万円が集まっただけで、陸軍省からの京釜鉄道(京城-釜山間)建設予算もあるので、全部出すわけにいかないという返事だった。

 そこで山本海相は児玉次長に要請したところ、即座に了承してロシアに一歩先んじて軍艦購入を決定した。明治36年暮れもおしつまった12月28日のことである。開戦わずか40日前のお宝購入である。この2隻が日露戦争では大活躍したのだから、山本、児玉の最強コンビのホームランである。

ちなみに、イタリアからこの2隻の軍艦を日本にえい航するのは並大抵のことではなかった。日英同盟による英国海軍の全面的なサポートによってこの虎の子の軍艦が無事に日本に到着したのである。

軍艦二隻は、その後スエズ運河を航行して日本へ運ばれたが、英国海軍は、ロシア海軍が大砲を据えて発射して戦えるようにしていない日本の購入した軍艦一隻の後をつけて要撃(待ち伏せして撃沈する)をねらっているらしいとの情報をつかんで航行の護衛をしてくれた。

 また、各港では日本軍艦には石炭の補給を英国が手伝って早く出港できるように支援し、ロシア軍艦には石炭補給をストップさせて、日本を助けてくれたのである。

日英同盟によって軍艦購入から日本へ運行するまで、いかにイギリスが日本を助けて、ロシアに対抗措置をとってくれたかーこれが日露戦争にかろうじて、日本が勝てた要因の1つでもあり、児玉、山本の『先見の明』と『最強のリーダーシップ』の証明でもあった。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(127)』『大学改革についてー議論の段階はとっくに過ぎている。組織全体のダイバシ ティの導入を急ぎ、毎日の生活環境 をシリコンバレーにせよ」。

 『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(127)』 『大学改革につ …

no image
日本メルトダウン脱出法(854)「偶然ではない!トランプとオバマの政策はそっくりだ」●『「斬首作戦」に慌てる北の独裁者、核発射の危険性も』●『真剣に考えた方がいい100歳まで生きるリスク』●『インタビュー:消費増税強行、かなりのリスク=浜田内閣官房参与』

   日本メルトダウン脱出法(854) 偶然ではない!トランプとオバマの政策はそ …

no image
『 地球の未来/2018年、世界の明日はどうなる』ー「2018年はAIが最重要になる」(MITメディアラボの伊藤穣所長)★『人工知能やロボットには奪われない「8つの職業」』★『AIが人類を超える意味—カーツワイルの予言』★『 レイ・カーツワイル 「加速するテクノロジーの力」(動画)』★『 レイ・カーツワイル:今後現れるシンギュラリティ(動画)』

 『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 2018年の世界経済、社会はどうなるか …

no image
速報(132)『日本のメルトダウン』★「ドイツのエネルギー問題」” システムへの衝撃 ” 電力関連業界が・・<英エコノミスト8/20>

速報(132)『日本のメルトダウン』   ★「ドイツのエネルギー問題」 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(112)/記事再録☆『政治家の信念とその責任のとり方』★『<男子の本懐>と叫んだ浜口雄幸首相は「財政再建、デフレ政策を推進して命が助かった者はいない。自分は死を覚悟してやるので、一緒に死んでくれないか」と井上準之助蔵相を説得した』

    2019/02/27 &nbsp …

『日中台・Z世代のための日中近代史100年講座⑨』★『日本恋愛史の華』★『伊藤伝右衛門の白蓮の決別状に反駁』★『銀行王・安田善次郎は刀で、俺は女の筆で殺された』「東京日日(現毎日)」』

2015/01/01NHK「花子とアン」のもう1人の主人公・柳原白蓮事件⑧ 京都 …

no image
★『鎌倉釣りバカ人生30年/回想動画記/』③★『3・11福島原発事故から1ゕ月後の鎌倉海の様子』★『May in KAMAKURA SEA』=『海は大波、小波で魚は御留守!じゃ』<『沈黙の春』が依然続くね>』

 2011/05/21  /鎌倉釣りバカ日記」記事 …

no image
日本メルトダウン脱出法(872)『社会に価値を生む企業が、勝ち続ける理由』●『世界トップのビジネススクールでは リーダーをどう育てるのか』●『製造と働き方の未来へ、デジタルで生まれ変わる巨人GE インダストリアルインターネット戦略で推し進める事業改革とカルチャー改革』●『ビッグデータとAIでビジネスを変える 日立のデータ利活用ソリューション』

  日本メルトダウン脱出法(872) 社会に価値を生む企業が、勝ち続ける理由 h …

no image
日本リーダーパワー史(618) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』 ⑫『福島安正のインテリジェンスが日清,日露戦争の勝利の主因①わが国初の国防書「隣邦兵備略」を刊行、清国の新海軍建設情報 を入手、朝鮮を属国化し大院君を強引に連れ去った

日本リーダーパワー史(618)  日本国難史にみる『戦略思考の欠落』 ⑫ 『福島 …

no image
日本グローバル/リーダーパワー史(660)本田復活/その逆転突破力の秘密ー『有言実行』『CEOと煩雑に対話』『個人技よりミランの勝利を』『若手の怠慢を「アホか!」と一喝!」「ケイスケ・ホンダ? 彼はとても賢いね。 私に頻繁に会いに来るよ。 日本人はイタリア人と違って、 思ったことをそのまま口にするね」(動画あり)

  日本リーダーパワー史(660) 本田復活/その逆転突破力の秘密ー『有言実行』 …