前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(478)日本最強の参謀は誰か-「杉山茂丸」の研究④「人跡絶えた谷間の一本杉のような男だ』(桂太郎評)

      2021/05/02

  日本リーダーパワー史(478)


<日本最強の参謀は誰か「杉山茂丸」の研究④>

 

◎『杉山という男は人跡絶えた谷間の一本杉の男だ』

(桂太郎評)―「玄洋社の資金源を作るため、

その雄弁を発揮して炭坑を獲得した」

 

 

前坂俊之(ジャーナリスト)

 

<以下は「東亜先覚志士記伝(下巻)昭和11年の復刻版、原書房 
昭和
41年」の人物列伝より>

 

杉山茂丸

 

http://homepage3.nifty.com/DS_page/sugiya_s/hyakuma.htm

 

 

 

次いで日露戦争後、朝鮮に統監政治が行われるに及び、内田良平

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E7%94%B0%E8%89%AF%E5%B
9%B3_(%E6%94%BF%E6%B2%BB%E9%81%8B%E5%8B%95%E5%AE%B6)

 

が統監府幕僚として日韓合邦運動をおこすや、彼は内地に在って元老重臣を動かすに努め、在朝鮮の内田と呼応して着々と合邦の機運を促進し、明治43年に実現するに至らしめたのであって、内田を統監伊藤公に推薦した事情や合邦実現に至るまでの苦心惨憺したのである。

 

桂太郎

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%82%E5%A4%AA%E9%83%8E

 は彼を評して

 『杉山という男は人跡絶えた谷間の一本杉といつたような男だ。天然のままに生えたのだから枝ぶりが悪くて節だらけで、とても庭園には使えない、また眺める木にもならない。ただ悪木の節だらけでも木の質が堅いから重荷だけは荷へる。

それだから、俺は彼に二階梁(ばり)や根太梁など削らないでもそのまま使えるような風の仕事をして貰っている」

 

といったそうであるが、波瀾起伏幾十年の間にわたり、全く政界の黒幕として縦横の奇才を揮い、伊藤、山県両元老.さては桂太郎.児玉源太郎.寺内正毅、田中義一、明石元二郎、後藤新平、床次竹二郎

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BA%8A%E6%AC%A1%E7%AB%B9%E4%BA%8C%E9%83%8E

 らと深く相許し.国家重大の事ある毎に必ず,国策の動向に何等かの影響を与えねば措かなかった。

 

  下村海南博士

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E6%9D%91%E5%AE%8F

 は晩年の彼を評して

 「伊藤山県時代」から見ると、人形も次第に小型になり、新しくなる、使いなれた大型な人形はいつの間にか亡くなる。人形使いもー年ずつ年をとってゆく。越路太夫去って、のちの老いたる吉田文五郎

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E7%94%B0%E6%96%87%E4%BA%94%E9%83%8E

 を見るの感は独り文楽座ばかりでなかった。

 しかし政界の文五郎は次々と新しい人形を物色し、使いこなしていた。しかし人間の命には限りがある、とうとう政界の文五郎はこの世をおさらばした」

といい、

「そうした人形の方からいわすと、杉山をつかったというかも知らぬ、これは知る人の見方にまかして、僕の知れる頃は政界の黒衣の人形使い文五郎が寺内正毅、後藤新平、田中義一、明石元二郎、そうした将星たちの黒幕として動いていた時分である』といっている。

 

 玄洋社における彼(杉山)の立場を顧みると、結城虎五郎

http://spysee.jp/%E7%B5%90%E5%9F%8E%E8%99%8E%E4%BA%94%E9%83%8E/1164758

 と共に頭山の両腕と称され、最初、頭山に炭坑事業をするように献策したのも彼であった。

 頭山は杉山の献策を聞いてジロリと鋭い眼光を彼に浴せ、「それでは俺に山師になれと云うのか」と不快の色を浮かべたが、

 杉山は快弁を以て滔々と説付け、「玄洋社の維持は同志の国家的努力の先決問題である、天下蒼生を救うを以て己が任となし、その任を達成するについては、意気が何よりの資本であるとはいうものの、そのところには相当の金力を要する所以を論じ、

 ついに頭山をして『それもそうじや、やろう』といわしめるに至ったのである。

 

そして炭坑獲得のためにまい進し、井上馨が大阪の藤田組を助けて海軍予備炭鉱を手に入れようとした時は、彼が直接、井上に会見して蘇秦、張儀の雄弁を揮ひ、ついに玄洋紅の頭山の手に収めしめるに至ったのであって、かくして玄洋社活躍の資金調達に多大の功績を残したのである。

 爾来、彼は蔭にあって頑山の活動を助け、共に国事に尽くしたのであるが、昭和十年秋、頭山、杉山両巨頭が断金の交わりを続けること五十年に及んだのを機とし、内田良平、星一

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%9F%E4%B8%80

 

眞藤慎太郎(昭和46111 89歳で没 玄洋社員、明道館館員、 日魯漁業副社長).の首唱により両巨頭交友五十年を記念するため「金菊の祝い』を催し、朝野の名士が多数出席して盛大なる祝賀会を開き.記念品を贈って祝福の意を表したのであった。

 この年、北鉄譲渡問題が解決を告げるや平素懐抱する東亜問題に関する政策が一段落を告げたものとなし、それまでは畏れ多くて参拝できぬといって一度も参拝しなかった明治神宮へ初めて参拝し、明治天皇の英霊に報告祈願したが、同年七月十七日、麹町の自宅で脳溢血で倒れ、同十九日についに長逝した。

 享年七十二。生前『俺が死んだら死体を解剖して、我国の学問に幾分でも役立つやう切り刻んで十分研究してくれ』といい残していたので、遺体は東京帝国大医学部病瑠嗟病理学教室で小金井艮精博士等の立合の下に緒方知三郎博士の執刀により解剖に付された。

 二十二日芝増上寺本堂で葬儀が厳かにいとなまれ会葬者は朝野の名士2500余人に達し、非常な盛葬であった。法号は頭山により『其日庵隠忠大観居士」とつけられ、遭髪を郷里福岡市の菩提寺寺一行寺に葬った。

 

                               続く

 

 

日本最強の参謀は誰か「杉山茂丸」の研究
伊藤博文の政友会創設にポンと大金をだし、金融王・モルガンを煙に巻く

http://maesaka-toshiyuki.com/top/detail/2445

 

<日本最強の参謀は誰か「杉山茂丸」の研究
「日露開戦前に児玉源太郎を参謀次長に引っ張り出し「無隣庵会議」にも参加

http://maesaka-toshiyuki.com/top/detail/2443

 

日本リーダーパワー史(475)<日本最強の参謀は誰だったのかー
「明治国家の大参謀」杉山茂丸の研究

http://maesaka-toshiyuki.com/top/detail/2434

 

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究 , , , , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
◎『「申報」からみた「日中韓150年戦争史」(77)下関条約1ヵ月前『中国は絶対に倭人の領土割譲要求を許すわけ にはいかないを諭す』

  ◎『「申報」からみた「日中韓150年戦争史」 日中韓のパーセプションギャップ …

no image
速報(107)『日本のメルトダウン』●<小出裕章動画情報2本>『食品安全委員会発表「生涯上限100ミリシーベルト」のゆるさ』

速報(107)『日本のメルトダウン』 ●<小出裕章動画情報2本>『作業員の『被曝 …

no image
日本メルトダウン脱出法(722)「中国の「QT」が引き起こす世界の金融バブル崩壊」●「日本の技術者が警告! 中国の「原発」は必ず大事故を起こす」

 日本メルトダウン脱出法(722) 中国の「QT」が引き起こす世界の金融バブル崩 …

no image
速報「日本のメルトダウン」(481)『米国は自滅への道を歩むのか』「アルカイダの復活大きく変わる国際テロの様相」

   速報「日本のメルトダウン」(481) &nb …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(182)記事再録/★『高橋是清の国難突破力(インテリジェンス)②』★『「明治のリーダー・高橋是清(蔵相5回、首相)は「小さな 政治の知恵はないが、国家の大局を考え、絶対にものを恐れない人」 ★『政治家はすべて私心を捨てよ』(賀屋興宣の評)

    2019/09/25 &nbsp …

no image
  『F国際ビジネスマンのワールド・メディア・ウオッチ(200)』-『マティス国防長官来日、いざとなれば、今まで通り米軍が助けるから、心配しないでくれ、トランプが何を言っても安全保障問題は俺が実行、解決するから」裂帛の気合いです。

   『F国際ビジネスマンのワールド・メディア・ウオッチ(200)』 &nbsp …

no image
『巣ごもり京都観光動画』★『世界文化遺産・京都南禅寺(3/29)参拝の全記録』☆『石川五右衛門が「絶景かな・」とうたった大山門へ』☆『京都三大山門の1つを拝観、高さ22メートルかから、京都市内を見渡す、まさに絶景だったよ』

  世界文化遺産・京都南禅寺(3/29)に参拝すー石川五右衛門が「絶景 …

no image
<裁判員研修ノート③>全告白『八海事件の真相(下)』<昭和戦後最大の死刑冤罪事件はこうして生まれた>③

  全告白『八海事件の真相』(下)   <死刑冤罪事件はこう …

no image
日本メルトダウン(956)黒田総裁の「いやいやながらのUターン」 これから政府と日銀の「総力戦」が始まる(池田信夫)●『 日本の不動産「爆買い」から撤退する中国人-富裕層は五輪を前にタワーマンションを早くも売却』●『北朝鮮は制御不能、米中のどちらが罪深いのか? 北朝鮮を「放置した」米国と「甘やかした」中国』●『英国の政治:一党支配国家と化す危険 (英エコノミスト誌)』●『中国の公式統計:迷信は答えにならない(英エコノミスト誌)』

  日本メルトダウン(956) 黒田総裁の「いやいやながらのUターン」 これから …

no image
 世界、日本メルトダウン(1013)- 「地球規模の破壊力示したトランプ」★ペイパードライバ―・トランプ大統領の『無謀運転』がグローバリズムに新たな中国流『万里の長城』を築くというアナクロニズム(時代錯誤)を強行』★『市民の抗議運動に「感銘」、オバマ氏が入国禁止令で声明』●『  トランプの不法移民対策、みずから「壁」にぶち当たる可能性』●『 トランプ政権の黒幕で白人至上主義のバノンが大統領令で国防の中枢に』

   世界、日本メルトダウン(1013)- 「地球規模の破壊力示したトランプ」★ …