前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

速報(132)『日本のメルトダウン』★「ドイツのエネルギー問題」” システムへの衝撃 ” 電力関連業界が・・<英エコノミスト8/20>

   

速報(132)『日本のメルトダウン』
 
★「ドイツのエネルギー問題」” システムへの衝撃 ”(一つの産業 ー 電力関連業界が、国の政策の変更に対処する為、もがき苦しんでいる)
<英エコノミスト8/20>
 
                   前坂 俊之(ジャーナリスト)
 
F国際ビジネスマンから、今度は「エコノミスト誌」のドイツのエネルギー政策の転換の現状報告の翻訳が送られてきました。『今回は、原発終了宣言をしたドイツの電力業界、現時点の混乱の寸評です。今後もドイツの電力ニュースは要注意です』との内容で、日本にとっても大変参考になる情報です。
 
 
German energyShock to the systemAn industry struggles to cope
with a change in government policy
 
F氏のコメント)
⒈ 1 減原発、近い将来の原発ゼロを目指す日本は、今後のドイツのエネルギー産業の構造改革を、しっかり射程距離に置いて観察、参考にしなければならない。原発休止分の殆どを、近い将来再生可能エネルギーで充足させようとするドイツの挑戦は日本の先例となる。
⒉  
2 福島原発事故以前は、ドイツは原発依存を拡大する路線であっただけに、原発廃止は、その他の火力発電、太陽光発電、風力発電、等々に一斉に経営体質の増強、自主、自立を求めており、抱える問題点がクローズアップされてきている。
⒊  
⒋  当面は、ガスタービンと買電で急場を凌がざるを得ないが、コストアップが電力会社の経営を直撃、値上げは避けられない。大停電は何とか避けられるか?また、石炭火力にも依存せざるを得ず、排出権取引、コストアップの問題も山積してくる。
⒌  
⒋ その間、太陽光発電と風力発電の能力増強に集中し、技術開発、コストダウンにも全力投球するが、成果は未だ未知数である。やってみなければ分からない。
 
2011820 The Economist from BERLIN
German energy" Shock to the system "An industry struggles to cope with a change in government policy
「ドイツのエネルギー問題」”システムへの衝撃”(一つの産業電力関連業界が、国の政策の変更に対処する為、もがき苦しんでいる)
 
 
 ドイツにおける電力の生産者達(電力会社)は、混乱の最中にいる。混乱の原因は政府である:3月、地震と津波の後に続く福島原発、原子炉からの放射能漏れを阻止する日本の必死の努力の後を追う様に、ドイツ政府は国中の原子力発電所の運転を2022年迄に停止することを決定した。
 
 経済省から委託された研究では、その政府決定による発生コストを見積もっている。失われる職、より高くなるエネルギーとカーボン価格など、凡そ460億ドルとなる。政府は原発プラントの寿命を平均12年間、従来より延長しようと計画していた。
 
 別の他の事情も事態を悪化させている。ドイツの4大発電会社は、余りにも大きな借入金を抱えている。これらの会社は又、ヨーロッパ委員会より、競争環境を改善する為に、配電網を切り離す様要求されている。そして、彼等は、修正し、身を縮め、儲からない海外事業から撤退し、自治体の発電会社と更に協力しようとしている。E. ON、ドイツ最大の電力会社は、11000人に昇るレイオフをする恐れがある。
 
 恐らく更にもっと悩ましい事は、混乱が再生可能エネルギー産業に迄、拡大している事だ、これは、原子力発電所の閉鎖から利益を得、原発の不足分を充足すると予想される産業である。ドイツの太陽光発電産業、嘗ては世界のリーダーであったが、これはアジアのメーカーにシェアを奪われ、そしてこの国ドイツの陸上風力発電の専門家達は、海上への風力発電ファームの移行の結果、打撃を受けている。
無煙炭や亞炭を使用するプラントから排出されるカーボンを捕捉し貯蔵する技術は、商業ベースに乗るかどうか、まだ証明されていない。原子力発電の停止に伴う供給不足は、コロン大学のエネルギー経済研究所や二つのコンサルタント、オスナブリュックのGWSや、スイス、バーゼルのPrognosの云うところでは、新しいガスタービン発電と電力の輸入で、より容易に充足出来そうである。
 
この二つは、高価で、海外の、時に不安定となるガス供給業者へのドイツの依存度を増やす事になる。無煙炭そして亞炭を使用する発電プラントの、将来に先延ばしされた使用は、カーボンの捕捉がなければ、ドイツだけでなくヨーロッパの炭素排出権取引エリア全体に渡って炭素排出権価格を吊り上げ、引いては電力コストの上昇になる。太陽光発電産業からの太陽光も暖かくはない、
 
本当に寒々しい光景だ。しかし、これはいつも人工的なマーケットであった、とウオルフガング・ハメル、ベルリンの応用化学大学のエネルギー専門家はいう。太陽光パネルのメーカー、特に東ドイツでは、関税ゼロで知られる保証された特典がありそれ故に繁栄したが、そのお陰で、太陽光発電の供給業者は、送電網に販売された電力を得る事ができる。
 
 その政府が保証した太陽光発電への特典は急速に減額されている、風力発電への優遇措置が高止まりし、海上風力の方は更に高止まりしている一方で。太陽電池アレイの投資家達は、今では補助金の殆ど無い中で競争を強いられている。
 
この事態は、ドイツの太陽光発電システムの大手メーカー、例えばPhoenix, SMA Solar,そしてSolarworldなどの受注価格を螺旋状に降下させている。その中で、明るい希望と呼べる様なものもある:太陽電池パネルそれ自体はアジアでもっと安い価格で量産されているが、そのパネルを作るマザーマシンはアジアでは作っていない。
 
数社のドイツメーカー、例えばCentrotherm, Roth & Rau などがマーケットリーダーに入る。 しかし、どの位やって行けるのだろうか? Roth & Rau は最近スイスのコンペテイターに買収され、赤字に陥っている。
 
 ドイツ政府が問題を少しでも軽減する為に、そのエネルギー政策を変更するという様子は今のところ有りそうもない。しかしながら、経済省の研究は、少なくとも当局に対し、大停電が起きるということはないことを示唆している。これは神に感謝すべき事だ。
 
 完    

 - 現代史研究 , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『日経新聞(2月10日)は「日銀の黒田総裁の後任に、元日銀審議委員の経済学者、植田和男氏(71)の起用を固めた」とスクープ』★『政治家の信念と責任のとり方の研究』★『<男子の本懐>と叫んだ浜口雄幸首相は「財政再建、デフレ政策を推進して命が助かった者はいない。自分は死を覚悟してやるので、一緒に死んでくれないか」と井上準之助蔵相(元日銀総裁)を説得、抜擢した』

  2019/10/23  『リーダーシ …

no image
★(まとめ記事再録)『現代史の復習問題』★『ガラパゴス国家・日本敗戦史④』150回連載の41回~51回まで』●『『太平洋戦争の引き金を引いた山本五十六のインテリジェンス』★『東條英機自身も仰天した組閣の大命降下ー東條首相誕生の裏側』★『<軍人たちは『戦争責任』『敗戦責任』をどうとったのか、敗戦で自決した軍人は一体何人いたのか』★『無謀な大東亜戦争での日本兵残酷物語の「内務班」<兵士たちは召集令状「赤紙」1枚(1銭5厘の命―現在の値段で約100円)とただ同然で招集』

★(まとめ記事再録)『現代史の復習問題』 ★『ガラパゴス国家・日本敗戦史④』 & …

『中国近代史100年講座』★『辛亥革命で孫文を助け革命を成功させ革命家・宮崎滔天兄弟はスゴイ!、宮崎家は稀有な「自由民権一家」であった。(下)』★『1905年(明治38)8月20日、東京赤坂の政治家・坂本金弥宅(山陽新聞社長)で孫文の興中会、黄興の華興会、光復会の革命三派が合同で「中国同盟会」の創立総会が開催され、これが『辛亥革命の母体となった。』

  2011/10/22 『辛亥革命100年』・今後の日中関 …

no image
日本メルトダウン(919)<年内90円か?通貨戦争勃発、日銀狙い撃ちか>『日銀のマイナス金利政策が窮地に』●『【社説】ブレグジット同様、目が離せない日本の状況』●『マイナス金利はマイナス心理? - 塚崎公義』●『追い詰められる国内投資家、もはや神のみぞ知るマイナス金利の終着点』●『「ヘリコプターマネー」はリスク感覚麻痺の産物』

  日本メルトダウン(919) 一喜一憂するなかれ:年金運用「5兆円損失」議論に …

no image
速報「日本のメルトダウン」(522)「八方ふさがりの日米関係」(英エコノミスト誌)『日本の国防:過去を振り返るな」(同誌)

 速報「日本のメルトダウン」(522)     ● …

no image
日中ロシア北朝鮮150年戦争史(47) 『日本・ロシア歴史復習問題』★「ロシアは『三国干渉』で奪い取った遼東半島を李鴻章に巨額ワイロを贈り、 武力恫喝外交と謀略で占領した」-ウィッテ伯回想記から『ロシアの遼東半島占領計画』『遼東半島の譲渡を要求』 『李鴻章に五十万ルーブルのワイロを贈る』『支那ついに譲歩す』

日中ロシア北朝鮮150年戦争史(47) 『日本・ロシア歴史復習問題』★  「ロシ …

no image
日本メルトダウン(928)『東京にはもっと集中と成長が必要だ 「保守・革新」というアジェンダ設定は終わった(池田信夫)』●『 “IoTの勝者 ARM”買収でソフトバンクが狙うもの (1/2) 』●『中国が「島ではなく岩」と抗議の沖ノ鳥島に、日本が100億円を注ぐ理由』●『「中国依存度が高い国」ランキング、5位に日本』●『温暖化で仁義なき海に…北極海と日本の戦略』●『高齢者の「貧困率が高い国」1位韓国、日本4位』

 日本メルトダウン(928)   東京にはもっと集中と成長が必要だ 「 …

no image
『ガラパゴス国家・日本終戦史』➂再録、3年前をふり返れ>2011/08/14)敗戦の8/15>「野田に決まった民主党総裁選の無惨、じり貧』

   1年間連載開始―『ガラパゴス国家・日本終戦史』➂ &n …

no image
日本メルトダウン脱出法(709)歴史を浄化しながら、日本の大国化を目指す安倍首相【戦後70年】独紙「過去の処理、中韓が利用」 「英豪は歓迎、台湾・馬総統は「慰安婦」言及」

   日本メルトダウン脱出法(709)   歴史を浄化しながら、日本の …

no image
3・11東北関東大震災・福島原発事故ー『日本のメルトダウン』ーを食い止められるか①

『日本のメルトダウン』ーを食い止められるか①                   …