知的巨人たちの百歳学(127)<カルピス王・三島海雲(96)の健康長寿・生涯現役\経営術>モンゴルで緬羊(めんよう)事業に着手、中国の排他主義で悪戦苦闘ついに事業から撤退、裸一貫に
2015/10/12
知的巨人たちの百歳学(127)
<カルピス王・三島海雲(96)の健康長寿・生涯現役・経営術>
蒙古(モンゴル)で緬羊(めんよう)家畜の羊のことを改良するー大隈重信のすすめで着手
100年前の中国進出、中国での事業の困難、日本資本への排他主義
のナショナリムズで、悪戦苦闘、ついに事業から撤退、裸一貫にー
➡今の中国に通じるものがある
片脚の政治家大隈重信伯
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%9A%88%E9%87%8D%E4%BF%A1
は、噂にたがわず頭脳も若く、気も若く、談論風発であった。
そして私の、蒙古から牛をつれて帰った話、広大な原野での放牧の話などにたいへん興味を持ち、「いま日本は、オーストラリアから年々一千万円に近い羊毛を輸入し、それで民需をはじめ軍服などに用いている。
これをもし蒙古の緬羊を改良して、蒙古から輸入できるとなると、蒙古との間に、より緊密な経済関係もできるし、国策上おもしろい」というのであった。
私は大隈伯の言葉に意を強くして、自分で緬羊の飼育、改良を蒙古でやってみようと決心した。
私は北京に帰るや、日華洋行と線を絶ち、持っている資金-それは軍銃の販売で得たものであるが-全部を持って、赤峰の東北のアオバン)王旗の王子廟の所属の方五十清里の土地に、緬羊を放牧することの契約を、活仏(ラマ教の首長)との間に結んだ。
・方五十清里というと、だいたい東京都ぐらいの広さである。
そして日本に戻り、下総の三里塚にある宮内省御料牧場から種付用として、メリノー種の牡羊十頭をわけてもらい、羊と一緒に三井物産の貨物船で大連に渡り、そこから蒙古に運んだ。
一方、蒙古ではすでに三百頭の雌の緬羊を買いそろえて待っていた。それから一年、すでに何頭かの第一回改良種が生まれ、私はこの事業に将来の見込みがついたので、拡張しようと考えた。そのためには約五十万円の金を必要としたので、その金策のために、また日本に戻ってきた。
三菱系では、清国政府の正式の許可が取れたら改めて相談に乗ろうということであった。ところが、そのころ私の事業について、清国政府から横ヤリが入って、それが解決しないかぎり、出資の見込みはつかなくなってしまった。
それは蒙古での緬羊の改良、大量の飼育がたいへんな評判となり、ついにそれが清国政府の耳に入ったからである。清国政府は、そのころすでに、内部的にも末期的な症状を示しており、とくに外国資本の進出に神経をとがらせていた。
清国政府は、外国人が国内での殖産興業をやることは条約違反であるから、私に、ただちに引き揚げるようにと言い張って、頭として許可しない。結局、天津総領事を通して、せめて賠償でもとって引き下がるはかはないと思い、交渉を始めたが、なかなかラチがあかなかった。
排他主義の清国(中国)
そのころの清国政府の態度について、の大阪朝日新聞(明治42年7月14日付)は「病的排他主義-危険なる清国の現代思想」〟という見出しで、次のように報じている。
「二十余年前、我国にも一種の亡国論者あり。日本は今にも衰亡に終るかの如き議論を鼓吹せしことありき。しかも日本は衰亡せざりしのみならず、其後日清戦役、義和団事件、日露戦役等を経過し来り、多数の欧米人には清国の属国とのみ考えられていたる日本が一躍して世界の一等国となりたるは、当時の亡国論者たる彼等に取りては如何にも意外千万なりしならん。
日本勃興の気運が亡国論を唱へられ居たるに胚胎し来れる如く、天下の事物には総て表裏両面あり、一面のみをみて一面の観察を怠る時は、其の結論は勢い偏奇の憂ひ無き能はず、彼等の議論が実際と大齟齬を来したるは之が為のみ。吾人は清国現時の国論に於ても、之と同一の実例を看取し得る心地す。
清国分割論の戯なりし時に当りては、清国の命脈はあたかもも風前の燈火に似たるものありき。去れど其後国民性の自覚と共に、利権回収熱は清国の全部に瀰漫し号漢鉄道の回収及山西鉱山の買戻しを手始めとして、いずれも外国人の獲得せるものは鉄道、鉱山、其他何物を問わず、所有利権を回収し尽さずんば、己まざるの傾向を示し来れり。
其れも可なりとして、清国の上下が一切万事を悲観し、水道を外人に敷設せしむるは危険なり、鉱山を外人に採掘せしむるも危険なり、顧問として、外国人を雇聴するは不経済極まれりとして、条約上の権利迄も蹂躙し去らんとするは、羹に懲りて膾を吹くの愚に類せずや。甚だしきは東沙島
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%B2%99%E8%AB%B8%E5%B3%B6
の如き一小問題を捕らえ来りて、国家存亡の岐るゝ所なりとか、清国瓦解の端を啓くものなりと極論し、末だ真偽すら判明せざる三島海雲氏が蒙古に牧場を設置すといへる風説に対し恰も蒙古全体を日本に占領せられたるかの如き大騒ぎを為しっ、あるかの如き、神経衰弱を病めるものが、微少なる物音にも激しき心臓の鼓動を覚ゆると異らず、嘗ては神経遅鈍を以って罵られたる清国が、今や却て神経過敏に悩まされつ、あるとは奇と謂ふ可し。蒙古で緬羊を改良する
(中略)
吾人は清国人をして今少しく興国の気象と、セルフ・トライアンスの観念に富ましめ度く思ふ。二十余年前、日本に於て行はれたる亡国論を担ぎまわりて、みだりに国民の意気を狙喪萎縮せしめ、之と同時に病的排他思想を助長するかの如きは、清国の将来に於る一大不祥事の因たる可きを確信す。」
まさにそのとおりとなって、1912年(明治45年)、清国政府は辛亥革命によって亡び去った。
それはさておき、清国政府が亡びたということは、私の賠償交渉の相手がいなくなってしまったことである。私のこの難局を見て、天津総領事、後に北京の代理公使・小幡酉吉が、清国政府のかわりに直隷省の外交部長・王克敏に個人的に交渉して、わずかの金を二
回にわたって私の郷里に送ってくれた。しかし、私は元の木阿弥、裸一貫となってしまったわけである。
私は中国に渡って、何の仕事をするにも、常に「国家」というものを念頭に置いてやっていた。日本の国力を海外に発展させるということが第一義であり、商売によって利を得ることは第二であった。
中国、蒙古における私の事業は、多くの先輩、友人、知己の援助でその十余年間、着々と発展した。だが、これらは清国の滅亡ですべてご破算になった。裸一貫になった。
知的巨人たちの百歳学(126)カルピス王・三島海雲(96)の「天行健」(てんこうけん)>①に散歩、②に日光浴③に食養生④に早朝散歩を毎日実行する
http://www.maesaka-toshiyuki.com/longlife/10773.html
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