前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

世界/日本リーダーパワー史(965)ー2019年は『地政学的不況』の深刻化で「世界的不況」に突入するのか』④『2021年の米大統領選でトランプ再選の目はない。』★『今年は日本は外交決戦の年になる,安倍首相の地球儀外交の真価が問われる。』

      2019/02/15

  • 2021年の米大統領選でトランプ再選の目はない。

  • 中間選挙の結果、米議会は下院は民主党、上院は共和党のねじれ議会となった。大統領の弾劾訴追や予算編成の先議権はまず下院にある。下院多数派の民主党は各委員会の委員長はすべてを押さえて調査権を握る。ロシアゲート事件を捜査しているモラー特別検察官は3月までに最終報告書を下院に提出と報じられている。

トランプ大統領はスキャンダルまみれなので、民主党は脱税疑惑。女性スキャンダルがの連邦法違反、政治献金の疑惑は選挙資金法違反になど弾劾に関する膨大な資料請求を政府に求めて徹底追及する予定で、トランプ大統領は苦境立たされる。

年明けの早々に開催された下院議ではのメキシコ国境線の壁の建設予算案は民主党が反対して、可決されず、トランプ氏は反発して政府機関の予算を執行を認めず年末から閉鎖が続いている。

 

ただし、下院からの弾劾訴追請求は上院に上がり、最終的な弾劾裁判を認める権限は共和党が多数を占める上院にある。これまで、上院で弾劾裁判を審査して大統領が有罪となったケースは1度もない。ニクソンは弾劾裁判で有罪になる前に、自ら辞任している。結局、トランプ大統領の数々の疑惑が出ても上院は認めず、弾劾裁判になる可能性は少ない。本人も強気でそう発言しているね.。

一方で、民主党が優勢とばかりはとは言えない。次期大統領選に名乗りを上げている候補者はロートルばかり、2021年1月の大統領就任式時点でみると、ジョン・ケリー元国務長官は77歳、バーニー・サンダース上院議員は79歳、バイデン元副大統領は78歳になる。ヒラリー・クリントン氏74歳も立候補するかもしれない。

中間選挙では女性議員が多数、誕生した。共和党の13人に対して、民主党はなんと87人。民主党が奪還した議席の6割は女性候補で、民主党躍進の主役は女性だった。その女性議員たちはトランプ大統領は「女性の敵」「セクハラ大統領」と敵愾心を燃やしており、議会では徹底して追及するだろう。中間選挙ではこれまで政治にあまり関心を思ってなかった若者や女性たちの政治意識を目覚めさせたので、次の大統領選挙でのトランプ再選の目は少ないとの見方が強い。

今年は日本は外交決戦の年になる

今年は安倍地球儀外交の総決算の年となる。G20(先進国に新興国を加えた主要20か国会議)が6月28,29日に大阪で開かれる。太平洋経済連携協定(TPP11)は米国を除く11カ国の環太平洋経済連携協定「TPP11」が12月30日発効した。今年2月l日には欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)も発効する。米中貿易戦争はエスカレートしているが、日本主導で世界の国内総生産(GDP)の4割弱を占める巨大貿易圏が誕生し、保護主義の大波を食い止める防波堤の役割を果たした。

G20では日本がはじめて議長国を務めてまとめ役の重責を担う。昨年のG20はトランプ大統領の反対で共同声明から「保護主義に対抗する」との文言が削除された。今回は安倍首相が議長国として、保護主義への流れに食い止めるために、EUと手を組んでリーダーシップを発揮するチャンスであろう。トランプ大統領との親密な関係をテコにして米中の間の仲介、説得役に成功すれば「世界経済のリセッション入り」を防ぐこともできる。

問題となっている貿易不均衡は2国間の交渉では解決できない点が多いため、多国間、世界全体で問題を捉えて見直すという構造面の改善、WTOの改革に取り組を提起して、共同声明が出せない場合には議長国として議論を集約し、問題意識を共有する論点整理と課題をの声明を出すべきだろう。安倍首相の地球儀外交の腕の見せ所だ。

       連載続く

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論 ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『百歳学入門』(210)-再録『白銀に描く100年の夢のシュプール/100歳でロッキー山脈を滑った生涯現役スキーヤー・三浦敬三氏は三浦雄一郎の父』★『「世界一のスキー・ファミリー」の 驚異の 長寿健康実践法とは・』

 2015/03/29「百歳・生涯現役学入門」(108) 息子に受け継がれた10 …

世界を変えた大谷翔平「三刀流(投打走)物語➄」★『米誌タイムの「世界で最も影響力のある100人」に大谷選手が選ばれた』★『「大谷がヤンキースに入団すればビートルズがニューヨークに来るようなものだ。スターはブロードウェイで最も輝く。才能にあふれ、ルックスがよく、カリスマ性のある大谷はニューヨークにふさわしい」(ニューズウイーク)』

世界を変えた大谷翔平「三刀流」 前坂 俊之(ジャーナリスト) 2021年は世界も …

『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(87)』『2015年初頭までに日本を巨大地震が襲う!?(村井名誉教授)ほか6本

  『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(87)』   『2015 …

no image
  日中北朝鮮150年戦争史(36)<歴史復習問題>『120年前の日清戦争の真実』- 日清戦争は偶発的な豊島沖海戦から始まった①』

  日中北朝鮮150年戦争史(36) 120年前の日清戦争の真実 日清戦争は偶発 …

『Z世代のための歴代宰相の研究③』★『日露戦争を勝利した世界史上空前の宰相・桂太郎の国難突破力③』―「その後,『日英同盟』の破棄と「日独・日中同盟」を孫文と提携した秘密会談の内容』★『孫文の秘書通訳・戴李陶が『日本論』で発表(1928年)した』

  2022/11/29/ 日本リーダーパワー史(1232)記事再録 …

no image
『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか―日本興亡150年史』(1)前坂俊之 (静岡県立大学国際関係学部名誉教授)

  ★『2018年「日本の死」を避ける道はあるのかー ―日本興亡150年史』(1 …

no image
日本メルトダウンの脱出法(547)「YOU は何しに日本へ」はイノベーションの宝庫」「世襲指導者の意固地さが東アジアの緊張を高める」

   日本メルトダウンの脱出法(547)   &n …

no image
日本メルトダウン脱出法(835)「米国株(10日):S&P500種4日続落、FRB議長証言で売り止まらず』●「蘇るリーマンショックの記憶、金融不安を高めるマイナス金利』●『コラム:問題児に転落したドイツ銀のハイブリッド債』●『爆買いから「爆学」へと進化し始めた、―中国人の日本リスペクトぶり』●『世界史が教える日本の大学の構造的欠陥―このままでは日本から大学が消えていく』

   日本メルトダウン脱出法(835)   米国株(10日):S&P500種4日 …

no image
高杉晋吾レポート⑪「脱原発」「脱ダム」時代の官僚像ーー元、淀川水系流域委員長 宮本博司氏へのインタビュー(上)

高杉晋吾レポート⑪   ダム推進バリバリの元国交省エリート、宮本博司が …

no image
速報(340)ビデオ座談会(120分)◎尖閣問題ー領土・歴史認識で<紛争、国家威信>対<貿易・経済利益>のバランスとる』

  速報(340)『日本のメルトダウン』   ビデオ座談会( …