前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

人気記事再録/百歳学入門(183)-現在、65歳以上の人は「2人に一人が90歳以上まで生きる時代」★『義母(90歳)の『ピンコロ人生』を見ていると、「老婆(ローマ)は1日にしてならず」「継続は力なり」「老いて学べば死しても朽ちず」の見事な実践と思う。

   

 

    2017/10/29

 百歳学入門(183)

老いて学べば、死しても朽ちず(佐藤一斎)

 

今年の「敬老の日」(9月15日)の発表では日本人の平均寿命は男80,98歳、女性87,14歳で過去最高をいずれも更新し、香港に次いで男女とも世界第2位。百歳以上は67843人で10年前の6倍に増えた、という。

65歳以上の高齢者は3461万人(平成28年9月現在推計)で、総人口に占める割合は27.3%。75歳以上が1,641万人の12.9%にのぼっている。

健康寿命は2015年の統計では男性が71,1歳、女性が75、5歳で、これまた世界一という。

現在、65歳以上の人はあと何年生きるかというと、「2人に一人が90歳以上まで生きる」「14人に一人が100歳まで生きる」とNHKの健康番組での司会者の解説である。まさに「人生90歳時代」に突入している。

 

そういえば私の義母は今年4月に90歳で永眠した。

大正15年生まれの義母と私は晩年の17年間、一緒に暮らしてきた。

彼女は「ピンコロ教」の実践者だった。昭和初期のモダンガールの面影を残した彼女は、原節子に似た美人で、年をとってもその美貌は一向に衰えなかった。

ボケ防止のため80歳を過ぎても毎日、新聞掲載の「数独パズル」に何時間も一心不乱に熱中していた。毎朝、午前6時前後に起床し、往復1キロほどの坂道をコンビニまで新聞を買いにウオーキングするのが筋トレの日課だった。

彼女の部屋の前には「6070はな垂れ小僧、はな垂れ娘、8090男盛り、女ざかり」「今やらねばいつできる、おれがやらねば誰がやる」「百歳わしも、これから、これから」なる(平櫛田中、107歳、彫刻家)の書がデーンと掲げられていた。

知的好奇心の旺盛な人で、新聞大スキ。スポーツの大の愛好家で、Jリーグ、海外リーグのサッカー、メジャーリーグ野球などのテレビ観戦を楽しみ、元気に楽しく毎日を過ごしていた。

中田英寿の大フアンで、2001年のASローマ在籍中の優勝ユニホームを購入して、それを着て買い物に出るのが楽しみにでひいきの『清水エスパルス』の応援に球場にまで出かけていた。

亡くなる10日前に、歩いて美容院に行き、帰る途中に坂道で気分が悪くなり倒れて入院、最期まで言語明瞭だったが、1週間後に亡くなった。907カ月の大往生であった。

亡くなる1カ月前、大ヒットしたアニメ映画『この世界の片隅で』を娘(わが妻)と観賞したが、生まれ育ち七〇年間過ごした『ふるさと呉』の懐かしの風景をくい入る様に見つめていた、という。

その後、義父と1945年(昭和20)3月に新婚旅行で京都を訪れて、桜見物した思い出を初めて語ったが、それが『遺言』となった。

彼女の晩年とその見事な『ピンコロ人生』を見ていると、「老婆(ローマ)は1日にしてならず」「継続は力なり」「老いて学べば死しても朽ちず」(佐藤一斎)を日々、実践したその実行力に感心する。

儒者:佐藤一斎の『言志四録』(その42)に、次の1節がある。

「少くして学べば、則ち壮にして為すことあり: 壮にして学べば、則ち老いて衰えず: 老いて学べば、則ち死して朽ちず

古稀の峠をすでに越えた筆者は、彼女の後を追いながら、七十、八十の急坂の道を息(生)を切らせながら、休み、休みしてトボトボと登っている今日この頃である。

誰もが願う長寿健康社会にとって、重要なのは平均寿命よりも健康寿命である。健康寿命とは『寝たきり状態や要介護になる年齢』。平均寿命から健康寿命を引いた期間を寝たきり期間といい、他の先進国では平均で寝たきり期間が7年程度なのに、日本では男性が9.2年、女性は12.7年という長期にわたっている。

また,厚労省の調べでは、認知症高齢者(アルツハイマー)は平成24年で約462万人にのぼり、65歳以上高齢者の約7人に1人で、認知症予備群と推計される約400万人と合わせると、65歳以上高齢者の約4人に1人が認知症またはその予備群ともいわれる状態である。

これでは平均寿命が伸びて世界1、2位を続けている裏で、寝たきり高齢者、認知症患者が激増えている実態が見えてくる。このため、国の平成27年度の一般会計予算(約96兆円)に占める社会保障関係費は32%に達する事態となり、財政を大きく圧迫している

日本の場合、6575歳は前期高齢者、7585歳は後期高齢者、85歳以上は末期高齢者と公的には呼んでいるが、米国ではそうではない。

6574歳まではベビーオールド(赤ちゃん老人)、7584歳までがリトルオールド(小さい老人)、8494歳まではヤングオールド(若い年寄り)、そして95歳以上がリアルオールド(真の高齢者)と呼ばれており、日米間では老人観、人生観がまるで違うし、年齢差別も、定年制度も年功序列も日本のようなものはない。

実際、米国では若々しい気持ちで時間を過ごしている高齢者がたくさんおり、年齢に左右されることなくアグレッシブ(積極的)に生活しており、最期は自然死に近いPPK(ピンピンコロリ)という人が多い、という。

今後、わが国での100歳以上の「センテナリアン」は、2020年に128000人、40年に42万人、50年には683000人と、倍々ゲームの勢いで増えていき「100歳時代」の到来も近い。

逆に少子高齢化も急ピッチに進んでおり、2030年には高齢化率が実に32%。人類史上初めての『子供、若者のいない超々高齢社会』となる。高齢者1人を2012年では24人で支えたが、25年には18人、60年には12人で支えるので社会保障関係費もパンクするのは目に見えている。

ではどうすればよいのか。義母のように医者にも介護にも頼らず、自足自立して健康寿命を延ばし「ピンコロ人生」を全うすべく、日々努力していくしかないが、日暮れて道遠しである。  

 - 人物研究, 健康長寿, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本リーダーパワー史(974)ー記事再録/『2・26事件で襲撃をうけ九死に一生を得た大日本帝国最後の首相・鈴木貫太郎(82歳)の終戦決断力が『日本を救った』

大日本帝国最後の首相・鈴木貫太郎(82歳)の晩年   《2009/02 …

no image
日本リーダーパワー史(85) 日本最大の英雄・西郷隆盛の最強のリーダーシップとは・・』(上)

日本リーダーパワー史(85) 日本最大の英雄・西郷隆盛の最強のリーダーシップとは …

『Z世代のための日本の超天才人物伝⑨』★「藤田嗣治とパリの女たち」★「最初の結婚は美術教師・鴇田登美子、2度目は「モンパルナスの大姉御」のフェルナンド・バレー、3度目は「ユキ」と名づけた美しく繊細な21歳のリュシー・バドゥ』★『夜は『エ・コールド・パリ』の仲間たちと乱ちきパーティーで「フーフー(お調子者)」といわれたほど奇行乱行をしながら、昼間は毎日14時間以上もキャンバスと格闘していた』

2008年3月15日 「藤田嗣治とパリの女たち」記事再録再編集 前坂 俊之(評論 …

『2023年【令和5年』正月の長寿お年玉プレゼントです』★『百寿者の<長寿健康名言>のクスリを一服を進ぜましょう』

   前坂俊之著「百寿者百語 生き方上手の生活法」海竜社 2 …

『MF・ワールド・カメラ・ウオッチ(18)』「フィレンチェぶらり、ふらり散歩(4/19-4/28)⑩

『MF・ワールド・カメラ・ウオッチ(18)』 「フィレンチェぶらり、ふらり散歩( …

no image
日本の〝怪物″杉山茂丸(すぎやま・しげまる)(一八六四~一九三五)

1 日本の〝怪物″杉山茂丸(すぎやま・しげまる)(一八六四~一九三五 …

日本リーダーパワー史(694)『ブレブレ」『右往左往』「他力本願」の無能なリーダーが日本沈没を加速させているー日本の決定的瞬間『西南戦争』で見せた大久保利通内務卿(実質、首相)の『胆力』『不言実行力』「不動心」を学ぶ①

日本リーダーパワー史(694) 『ブレブレ」『右往左往』「他力本願」の日本の無能 …

no image
『オンライン/真珠湾攻撃(1941)から80年目講座➂』★『日米インテリジェンスの絶望的落差』★『ルーズベルト米大統領は、カントリーリスクマネージメントの失敗を是正するため新しい情報機関(CIA)の設置を命じた』★『一方、日本は未だに情報統合本部がな<<3・11日本敗戦>を招いた』★『2021年、新型コロナ/デジタル/経済全面敗戦を喫して、後進国に転落中だ』(下)』』

    2011/09/17  日本リー …

no image
日本リーダーパワー史(30)インドに立つ碑・佐々井秀嶺師と山際素男先生 <増田政巳(編集者)>

日本リーダーパワー史(30)   インドに立つ碑・佐々井秀嶺師と山際素 …

no image
日本メルトダウン( 969)●『トランプに熱狂する白人労働階級「ヒルビリー」の真実』●『トランプが敗北しても彼があおった憎悪は消えない』●『預金が下ろせなくなる?国の借金1000兆円を国民に負担させた「預金封鎖」とは』●『そして預金は切り捨てられた  戦後日本の債務調整の悲惨な現実』●『尖閣問題も五輪ボート会場問題も「ノーベル賞マインド」で(李小牧)』●『東芝と日立、なぜ両巨艦の明暗は分かれたか 世間が決める「成功」にとらわれるな』

   日本メルトダウン( 969) トランプに熱狂する白人労働階級「ヒルビリー」 …