前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

知的巨人たちの百歳学(128)国文学者・物集高量(106歳)の健康長寿・生涯現役/勉強法>「クヨクヨせずいつも恋をして、何かに好奇心を向けて自然の変化にさからわず。そうすれば誰でも百年ぐらいは生きられる」

      2015/10/12

ダウンロード

 知的巨人たちの百歳学(128

<106歳 国文学者・物集高量の健康長寿・生涯現役/勉強法>

「中間の神経でいながら、目標を定めて、『こいつをものにしょう』

『こいつを乗り越えてやろうって人が生き残るんです」

106歳 国文学者 物集高量 (1879年4月3日-1985年10月25日)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A9%E9%9B%86%E9%AB%98%E9%87%8F

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A9%E9%9B%86%E9%AB%98%E8%A6%8B

1979年、物集が100歳の時、「ちょっとだけ教えましょうか」と前置きして、経験則から得られた生き残りのコツとして述べた言葉である。

落第、いじめ、神経衰弱などを経験し、骨膜炎で左脚の自由を失うと、実の母から「金食い虫」とまでさげすまれた子ども時代。

成人してからは心中未遂、債権者に追われての夜逃げ、花札賭博による逮捕勾留、借金による差し押さえ処分、そして生活保護になるという波瀾万丈の半生をおくった。

父・物集高見は東大教授の国文学者だったが、在野となり5万冊の和書を収集して貧窮の中で一大百科事典「広文庫」(全20巻)を完成した大学者。高量はその長男として生まれ、東大文学部国史科を卒業しながらも、エリートコースとは無縁の道を右往左往しながら歩んだ。人並みの穏やかな生活が送れるようになったのは、最晩年になってからのこと。

ところが物集は実にひょうひょうとして、人生を楽しむかのように生き抜き、103歳になった時には、「僕は日本で一番の自由人かもしれません」とふり返った。「絶望」という言葉が一番嫌いだといい、自分の生き方には絶望はないと、キッパリ。

何事にもくよくよせず自由奔放に生きてきた物集だけに人生を達観したかのように、

「神経の細かい人は、自爆するんですね。また、あんまり太すぎると、世渡りに失敗する」

最も良いのが「中間の神経」だと、江戸っ子らしい気っぷのいい語り口そのままに生てきた。

「結局、長生きするのは気の持ちようなんですね。クヨクヨするのが一番悪い」

と言い、何事にもとらわれることなく、自分だけの目標を持ち続けることを説いた。

  • 「恋ってのは長生きするには一番いいもんですよ」

  • 44年間連れ添った妻を亡くしたのは物集が78歳の時、1957年だった。

  • さみしくて後追いをしようと思い詰め、半年くらいは死ぬことばかり考えていたという。

ところがである。死のうかと思いながら、死ぬのを1日延ばし、さらにまた1日延ばしているうちに、やがて「死ぬのが惜しくなっちゃった。馬鹿らしくなっちゃった」というのである。

それから25年後の103歳の時には、淋しさなどみじんもなくなって、一人暮らしほど気楽でいいものはないと思うようになり、長生きをたっぷりと楽しんでいた。その長生きの秘訣が恋だという。

恋をしているときの心情を、物集ならではの表現としてこういっている。

「恋をすると、身内から熱くこみあげてくるものがあるでしょう、あれがいいんです

。この女を僕に惚れさせようなんて思うとエネルギーが湧いてくるんです」

事実、老人の戯言ではなかった。物集は100歳を過ぎても、なお34人目の恋人と恋愛中と公言した。

その恋人は26歳だった。もちろん年をとっているだけに、視力は衰え耳も悪かったが、恋人とのデートを楽しんだ。それどころか、仕事にも精を出し『続・百歳は折り返し点』や『百三歳。本日も晴天なり』を執筆、さらにNHKや民放にも出演するなど旺盛に活動。恋の力のすごさを見せつけた。

「クヨクヨしないでいつも恋をして、何かに好奇心を向けて自然の変化にさからわない。そういう生き方をすれば誰でも100年ぐらいは生きられるんじゃないですか」

実際、好奇心を持ち続け恋にも生きた物集は106歳の人生をとことん謳歌した。

 - 健康長寿

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『MF・ワールド・カメラ・ウオッチ(18)』「フィレンチェぶらり、ふらり散歩(4/19-4/28)⑩

『MF・ワールド・カメラ・ウオッチ(18)』 「フィレンチェぶらり、ふらり散歩( …

『オンライン/長寿歴史学講座』★「渋沢栄一(91歳)の公益資本主義」★『なぜ、いま渋沢栄一なのか!?。―時代の大転換期に求められるリーダーの先駆者として渋沢哲学とその巨大な業績が見直されているのではないか、』

   「渋沢栄一(91歳)の公益資本主義」   今、世界は「新型コロナ …

no image
世界が尊敬した日本人● 『東西思想の「架け橋」となった 鈴木大拙(95)』〔禅の本質の究明し、知の世界を飛び回る〕

 世界が尊敬した日本人     東西思想の「架け橋」となった …

『50、60,70歳のための加齢創造学入門』★『国産ロケットの父・糸川英夫(86)の『加齢創造学』ー人間の能力は6,70歳がピークだよ』★『「なにも知らない人間だから、新しいことを勉強しなければならない」と挑戦意欲をもつ』

逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/10/26 /am1100) 2012/0 …

『オンライン/ベンチャービジネス講座』★『日本一の戦略的経営者・出光佐三(95歳)の国難・長寿逆転突破力①「順境で悲観し,逆境で楽観せよ」★『金・資本・知識・学問・会社、組織の奴隷になるな!』★『私は目が見えなかったために本など読まず、自分の頭で考え抜いた』

  戦略的経営者・出光佐三(95歳)の国難・長寿逆転突破力 &nbsp …

no image
日本リーダーパワー史(723)『強中国夢』④(中華思想単独覇権主義の夢)をめざす習近平共産党政権の未来は・『日清戦争の原因は中華思想の傲慢な事大主義』、21世紀のグローバル/デジタル時代に 『中国の夢』(中国一国覇権主義)ははかない幻に 終わるだろう。

 日本リーダーパワー史(723) 『強中国夢』④(中華思想単独覇権主義)をめざす …

『Z世代のための最強の日本リーダーシップ研究講座(48)』★『地球環境破壊(SDGs)の足尾鉱毒事件と戦った公害反対の先駆者・田中正造①』★『鉱毒で何の罪もない人が毒のために殺され、その救済を訴えると、凶徒という名で牢屋へほう込まれる。政府は人民に軍を起こせと言うのか。』

2021/08/16 世界が尊敬した日本人(54)記事再録 (古河市兵衛)こんな …

『文豪たちの最期の瞬間』★『バカボンド』世捨て人)ー永井荷風の散歩人生と野垂れ死考 ③』★『人生に三楽あり、一に読書、二に好色、三に飲酒」』★『乞食小屋同然の自宅の裸電球のクモの巣だらけの6畳間の万年床の中で洋服を着たまま81歳で昇天』

  2024/06/29記事再録・再編集   &n …

no image
日本リーダーパワー史(732) 再録記事★『世界が尊敬した日本人』 自動車修理工からー代で〝世界のHONDA〃を築いた本田宗一郎

  日本リーダーパワー史(732)     再録記 …

湘南海山ぶらぶら日記/海外編(2022/6/22)米国で『カブトガニ産卵地の海岸』を発見!』★『砂浜にカブトガニの殻があちこちに散乱』

アメリカに住む娘からメールが届いた。 遊びに行った米北部の海岸で「カブトガニ」が …