前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

「Z世代のためのウクライナ戦争講座」★「ウクライナ戦争は120年前の日露戦争と全く同じという歴史ニュース」★「日露戦争開戦1ゕ月前の『米ニューヨーク・タイムズ』の報道』★『日露戦争の行方はロシアは敗北する可能性が高い』★『ロシアの対日戦の必然的な目的である朝鮮征服にロシアはあらゆる不利な条件下で臨むことになろう』

   

2017/01/09    『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』㉙の記事再録

 

開戦1ゕ月前の 1903(明治37年)年12月29日米ニューヨーク・タイムズ』ー「日露戦争の行方はロシアは敗北する可能性を予測』

海外で尊敬されていた和平派のヴィッテ氏がロシアの国政に発言力を失った。

②日本と戦争になってもロシアには同盟国がない。フィンランド、ポーランド、スウェーデン、その他のロシアによる植民地になった国は一斉に反乱、革命に立ち上がるだろう。

③ロシア軍はすべての兵員,武器弾薬,ほぼすべての補給物資をアジアを通じて運ばなければならないで、海上では日英同盟によるイギリスの干渉、シベリア鉄道は満州馬賊らによる破壊活動を防ぐことはできない。

--------------

 『記事本文』

露日情勢に関する新聞報道で疑いの余地がないのは,ロシアの公式発言がいよいよ傲慢な調子を帯びて,日本と協調する意向をなくしつつあることを示していることだ。これが最も重大な特徴だ。大方のロシア人も日本人も,両国間の利害対立はいずれ戦争で決着をつけねばならないと一致していることは確かだ。

だがロシアは現在の方が,事を遅らせるより自国にとって都合がよいと考えている様子を見せている。それ故に同国は調子を鋭くし,断定的な発言を強めていると見られる。だがそれは冷静な観察者に対しロシアの政治家の名声を高めるものではない。というのも.同国の最も開明的な政治家として海外で尊敬されていたウィッテ氏がロシアの国政に発言力を失ったらしいからだ。

 日本と戦争になってもロシアには同盟国がないことは確かなようだ。

英日同盟に直面してロシアが同盟国を持つのは自国のためにならないように英日同盟は,日本が2か国以上に改革されたなら大英帝国が日本を救援することを義務づけている。太平洋のアジア沿岸で戦争になれば,イギリス海軍がロシアに対しても,ロシアの同盟国につく可能性のあるいかなる国に対しても,直ちに決定的な要因になるからだ。

それにも増して,大英帝国とロシアの間に戦争が起これば,極東に限定できそうになく,ヨーロッパに拡大することは避けられまい。そしてヨーロッパ・ロシアの沿岸はイギリス海軍に対しまるで無防備となろう。というのも,ロシアはあるだけの軍艦を東洋の海域の任務に回して丸裸になると,すべての報道が一致しているからだ。

イギリス艦隊は,その大きな一部を太平洋の制海権確保のため割いた後も,ロシアのパルト海諸港をたやすく効果的に封鎖できる。

フィンランドは決してロシア化されていない。英露戦争になれば,当然かつ直接的な結果としてフィンランドで反乱が起ころうし,イギリスの海軍力は反乱派にとり絶大な助けと励ましとなろう。対日戦にどんなヨーロッパの国を同盟国に誘おうとしても,利益よりリスクの方がはるかに大きいから,ロシアがその方針をとるとは思われない。

 そこで戦争は地元における日本と,本国を遠く離れたロシアとの間で行われることになろう。ロシア軍は,すべての兵員,武器弾薬,ほぼすべての補給物資をアジアを通じて運ばなければならないだろう。

たとえば,シベリア鉄道の東端に.ロシアが人口20万の,軍でなく都市を持っていて,この都市に対し単線の鉄道1本によって2000マイルのかなたから補給を行わなければならないと想像するがよい。平時ですら問題はかくも困難きわまるものだ。戦争ともなれば全く解決不可能となる。

鉄道は半分以上の距離にわたって日本の攻撃ばかりでなく,ロシアがすでに手を焼いていると報じている満州馬賊に加え,おそらく中国正規軍の攻撃にもさらされることになるからだ。彼らは戦場ではいかに劣っていようとも.鉄道を切断するだけなら危険この上ない存在であり,そのためロシアはこの死活的な連絡線に強大な守備隊を維持せざるを得なくなり,戦力に重大な支障をきたすことになりかねない。ロシアは両方を賄う兵力があるというなら,その通りだろう。

 遠い戦場への兵站、補給線で失敗が自明のロシア

だが戦闘部隊も守備隊も遠くの本拠地から補給しなければならない。

ロシア人は東アジアへ「離れるごとに引きずる鎖が長くなる」から,無数の地点で攻撃にさらされ得る鉄道が1か所でも切断されれば大変なことになる。だが戦場は満州でなく,朝鮮と海になりそうだ。日本は釜山からソウルへの鉄道の「突貫工事」により,今でさえ朝鮮の完全支配を握っている。この鉄道は長崎からわずか数時間の良港の釜山から発し,朝鮮半島の半分以上を縦断して内陸の首都に至る。この鉄道を制する国が朝鮮を制するのは確かだ。

ロシアにとっては朝鮮へ開かれた道は海しかなく,首都ないし鉄道へ進撃を始める港を得るには、まず日本海軍を撃滅しなければならないのに,日本から朝鮮の支配権をもぎ取るどんな可能性があるというのか?

ロシアのアジアへの「氷河的進出」には敬意を表するとしても,氷河すら朝鮮を大陸から隔てる山脈には阻まれるのであり,対日戦の必然的な目的である朝鮮征服にロシアはあらゆる不利な条件下で臨むことになろう。

 

 - 人物研究, 健康長寿, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『オンライン講座・ウクライナ戦争前史・「ロシア新聞」からみた「日中韓150年戦争史」の研究』(66)『(日清戦争開戦2ヵ月後―「新たな世界的強国(日本)の誕生」と『ノーヴォエ・ヴレーミャ』が報道

  2014/09/29    …

no image
日本メルトダウン脱出は不可能か(695)ガラパゴス日本株式会社の終焉、「東芝は明らかに粉飾」と専門家 過去の粉飾事件に匹敵する巨額さ」

    日本メルトダウン脱出は不可能か(695)   上場廃止回避も… …

no image
世界/日本リーダーパワー史(953)ー『米中間選挙後も、トランプの「孤立主義」「単独行動主義」の暴走は収まりそうにない』★『安倍首相はサミットメンバーではメルケルに次ぐ最古参で、TPP、EUとの経済連携協定(EPA)など自由貿易を守る旗手として今こそ、安倍首相のその真価が問われている』

世界リーダーパワー史(953)   米中間選挙(11/6)は事前の予想 …

no image
百歳学入門(193)―『発明王・エジソン(84歳)ーアメリカ史上最多の1913の特許をチームワークで達成したオルガナイザーの人生訓10か条』

百歳学入門(193) 発明王・エジソンーアメリカ史上最多の1913の特許をチーム …

★鎌倉材木座海岸は海開きスタート(2022/6/5pm1)★「サーフィン」「Wサーフィン」「シーカヤック」「フィッシング」「海遊び」「海水浴」で「太陽の季節」へ!
no image
『新しい女・青鞜』百年-日本女性はどこまで変わったのか①ー100年前の女性、結婚事情

『新しい女・青鞜』百年-日本女性は変わったのか①            …

no image
日本興亡学入門⑦軍神東郷平八郎の悲劇=日露戦争の大勝利が太平洋戦争の大敗北に。

                             <2009、04,02 …

no image
日本リーダーパワー史(406)『安倍首相は東京オリンピック誘致で最強のスピーチ力を発揮せよ」(2日後に迫る)

  日本リーダーパワー史(406) 『安倍首相はオリンピック …

no image
『ニューヨーク・タイムズ』で読む日本近現代史①ー日本についての最初の総括的なレポート<「日本および日本人ー国土、習慣

  <『ニューヨーク・タイムズ』で読む日本近現代史 の方がよくわかる① …

no image
人気記事再録/百歳学入門(183)-現在、65歳以上の人は「2人に一人が90歳以上まで生きる時代」★『義母(90歳)の『ピンコロ人生』を見ていると、「老婆(ローマ)は1日にしてならず」「継続は力なり」「老いて学べば死しても朽ちず」の見事な実践と思う。

      2017/10/29 &nb …