日本リーダーパワー史(847)ー『安倍首相は25日午後に衆院解散の記者会見して、理由を表明する』★『明治150年で朝鮮半島有事と日清、日露戦争、今回の米朝開戦か?と衆議院冒頭解散の歴史的な因果関係を考える』①
2017/09/25
日本リーダーパワー史(847)
安倍晋三首相は25日午後に、衆院解散に関して記者会見して、内閣記者会で会見し、28日召集の臨時国会で冒頭解散すること、衆院選の投票日は10月22日にすること、解散の理由、選挙の方針、公約などについても発表するという。
このタイミングでの突然の解散表明については、新聞、テレビで様々な論議を呼んでいる。『大義がない』『森掛逃走解散』『小池つぶし、民主党つぶし解散』「ミサイル解散」「KKK解散(北朝鮮核開発脅威)」『我が闘争(逃走)解散』『憲法改正解散』『安倍延命解散』などなど。
安倍首相の真意がわからないということだ。
ところで、ここで1つおさえておかねばならぬことがある。
来年は明治150年である。この150年間、日本の安全保障政策にとって、いつも懸案となったのは、朝鮮半島の存在である。
ヨーロッパにおけるバルカン半島が火薬庫(第一次戦争での)であったとすれば、朝鮮半島はまさしく「東アジアにおける火薬庫」バルカン半島なのである。
地理的には朝鮮半島は付け根で中国大陸につながり、その反対の先端では日本列島からわずか40キロしか離れていない、日本と朝鮮・韓国は一衣背水に地理的な位置をしめており、この関係は永遠に動かすことが出来ない。
切ってもきれない地政学的条件である。
- 1888年(明治21)、山県有朋は『軍事意見書』を政府へ提出。「シベリア鉄道竣工の日はロシアが朝鮮に侵略を始める日」と述べ、軍備増強を訴えた。
1890年(明治23)11月25日、第一回帝国議会が開かれ、山県有朋首相が施政方針演説を行い「日本の主権を守るため朝鮮に利益線を確保すべき」と述べた。
以下に詳しい。
日本リーダーパワー史(701)日中韓150年史の真実(7)<ロシアの侵略防止のために、山県有朋首相は『国家独立の道は、一つは主権線(日本領土)を守ること、もう一つは利益線(朝鮮半島)を防護すること」と第一回議会で演説した。http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/16196.html
日本リーダーパワー史(702) 日中韓150年史の真実(8)山県有朋首相は『国家独立の道は、主権線と利益線(朝鮮半島)を防護すること」と演説したが、これは当時の国際法で認められていた国防概念でオーストリアの国家学者・シュタインの「軍事意見書」のコピーであった。http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/16237.html
●この朝鮮半島の帰属をめぐって、当時朝鮮を属国としていた清国との間で、1894(明治27)年8月に日清戦争が起きた。
この時の国会解散は空転する。戦争に備える軍艦の建艦費は明治天皇の決断で通過したが、外相の陸奥宗光がひそかに英国をはじめ各国との間でまとめていた条約改正案がもれ、現行条約励行案と対立、日清戦争開戦半年前の明治26年12月30日、伊藤博文首相は議会を解散した。
総選挙の結果はこれも政府に利あらず、第六議会は開かれたが、片岡健吉ら5名により政府不信任が出された。伊藤はこの不信任案に対し、再び議会を解散した。そこへ東学党の反乱がおきたのである。
日清戦争はなぜ起きたのか
ー日中韓認識ギャップ(思い違い、無理解)の対立から戦争へ
原因としての東学党の乱(甲午農民戦争)から、日清出兵へ③
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/8832.html
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●次ぎは日露戦争開戦と国会解散との関係にふれる。
日露戦争の原因も「満州を制圧したロシア」が日露交渉の結果に応じず、次に『朝鮮半島へ侵攻』したのに対する日本側の自衛権の発動である。
この時も北清事変で、ロシア以外の日・英・米その他は講和条約に従って撤兵したが、ロシアは満州に居座り撤兵を拒否した。日本はロシアと「満州」『朝鮮半島」の帰属をめぐって交渉したが、ロシア側は日本との交渉を無視、話し合いでは解決できない。ロシアは軍事力を増強、朝鮮にも侵攻した。
結局「話し合い、対話によってもそれぞれの国益が衝突して、解決できなくなると、武力衝突に発展する。力での解決である。話し合えというのは問題解決にはならないのである。
英米とも日本の『日露開戦』までの国際法遵守と隠忍自重を高く評価し、日本を支持、応援した。
日本リーダーパワー史(753)–『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争を英国『タイムズ』米国「ニューヨーク・タイムズ」は どう報道したか」を検証する①(20回連載)」★『6ヵ月間のロシアの異常な脅迫、挑発に、世界も驚く模範的な礼儀と忍耐で我慢し続けてきた 日本がついに起った。英米両国は日本を支持する」』
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/22024.html
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この日露開戦の1ゕ月前の明治36年12月10日の衆議院の開会冒頭での衆議院議長河野広中は、開院の勅語に対して奉答文で「内閣弾劾の文」を織り込み、議院の賛成を得て『冒頭解散する』という奉答文事件が起きる。
日露戦争が秒読みになった段階で、国会での論議をしているひまはない、という「策謀」解散である。
以下に詳細がある。
日本リーダーパワー史(782)『明治政治史の謎を解く』★『秋山定輔が仕掛けた日露戦争の引き金となった前代未聞の奉答文事件の真相」
http://www.maesaka-toshiyuki.com/longlife/23793.html
★5日本リーダーパワー史(783)『明治政治史の謎を解く』★『秋山定輔の国難突破の政治力ー秋山が仕掛けた日露戦争の引き金となった前代未聞の奉答文事件の真相を語る」
★『第十九回の帝国議会はわずか半日足らずで解散になり、河野広中議長も職を解かれた』
http://www.maesaka-toshiyuki.com/longlife/23809.html
奉答文事件の背後には秋山定輔が仕組んだものという説と、「国難に自ら起って」,内務大臣から2階級急降下して陸軍参謀次長になった児玉源太郎が画策したという説もあるが、とにかく「国家緊急事態」への体制づくりを急いだのである。
日清戦争の場合も、山県有朋の「国益、安全保障のための利益線を朝鮮半島を防護すること」との長期国家戦略は昔も今も変わりない。
日本と韓国の海上での距離はわずか40キロで、100年前には海上輸送に頼るしかなかったが、ミサイルで北朝鮮から発射すればわずか10数分で、横須賀の米軍基地、東京周辺には着弾する。もし、北朝鮮の恫喝する核搭載のミサイルが飛んでくれば、数十万人の死傷者が出ることは間違いない。
大東亜戦争以来、70年ぶりに、日本は戦後最大の安全保障上の大ピンチに陥ち入っていることは間違いない。芸能エンタメニュースのノリで、北朝鮮問題を対岸の火事と甘く見ていると「福島原発事故」のリスクを再来となるであろう、そのときこそ、「平和ボケ日本」(国家リスク無視)の死となる。最悪に備えることこそ大人の智慧であり、「最悪に備えて準備することこそ」リーダーの務めである。
つづく
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