前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『オンライン/』本田宗一郎の名語録』★『どんな発明発見も他人より一秒遅れれば、もう発明、発見でもなくなる。時間こそすべての生命である』●『頭を使わないと常識的になってしまう、頭を使って〝不常識″に考えろ』

   

日本リーダーパワー史(733) 

   

 

日本の創業者列伝 本田宗一郎の名言集

 前坂 俊之(ジャーナリスト)

 

①   成功は失敗の回数に比例する

 

ホンダの奇跡的な発展の原因はここにある。本田はこう書いている。

「人生は『見たり』『聞いたり』『試したり』の三つの知恵でまとまっているが、その中で一番大切なのは『試したり』であると思う。

 

ところが、世の中の技術屋は見たり、聞いたりが多くて『試したり』がほとんどない。僕は見たり、聞いたりするが、それ以上に試すこともやっている。その代わり失敗も多い。
失敗の数に比例して成功しているともいえる。みんな失敗を嫌うもんだから、成功のチャンスも少ない」
何度もチャレンジして挫折や失敗を繰り返すごとに、成功の芽を発見していく。失敗と成功は紙一重であり、失敗を恐れてチャレンジしなければ、成功は永遠に手に入らない。

実践と行動に裏打ちされた本田らしい言葉だ。

 

②   頭を使わないと常識的になってしまう、頭を使って〝不常識に考えろ

 

ホンダには〝頭の運動会″というのが二年に一回開催される。本田が「運動会はどこの企業も毎年やっているのに、なぜ頭の運動会はないのか」と言い出して始めた。

「オールホンダ・アイデアコンテスト」という名称で、スポークのない自転車、四角の車輪の自転車など珍アイデア続出のコンテストで、ここで出されたアイデアが結実して、製品化されたものも少なくない。コンテストという遊びだから、思い切り常識を引っくり返した〝非常識″なことが行える。アイデアは非常識の中から生まれるのである。

本田は言う。

「常識的、真面目からは何も生まれない。こうした非常識なことが行われているから、ホンダはこれだけ大きくなった」

人間には二通りある。

先にあるものがわからないから、やるというタイプと逆に、わかったからやるというタイプである。前者でないとアイデアはわいてこない、という。ホンダが大きく発展したのは、一人ひとりの創造力と得手や持ち味を十分伸ばしたからだった

③   得手に帆を上げよ

本田は「鍛冶屋」の息子である。父親が真っ黒くなって、機械づくりをしているところで幼ない時から一緒に真っ黒くなって遊んでいた。機械いじりが飯より好きなのはこのためだ。生涯の仕事としても、この機械いじりを選んだ。

本田の持論は「得手に帆を上げよ」である。人間には得手、不得手がある。得手なものなら、進んでやるし、やればできるが、不得手や苦手なことは、やりたくないし、やってもうまくいかない。やはり「好きこそ物の上手なれ」である。

本田が社長になっても、ナッパ服で、真っ黒くなって工場で機械と取り組んでいると、人は陣頭指揮などと誤解する。本田は好きだからやっているだけの話である。

得手に帆を上げるために、本田は「社員は得意分野で能力を発挿せよ」といい「能ある鷹は爪を隠すな」とハッパをかけた。どのような能力があるのか、積極的にアピールしてくれなければ、上司だってわからないではないか。

会社も人間も「得手に帆を上げる」のが成功の道なのである。

④   能ある鷹はツメを誇示せよ

「能ある鷹はツメを隠す」という諺があるが、本田は「そんなに能力の出し惜しみしていたら、スピード時代の今日には通用しない。せっかくの手腕も宝の持ち腐れだ」と怒る。

 

「自分はこういう考え方をしている」とはっきり意思表示し、「自分は鷹だ」「自分は鳩だ」と、堂々と主張してほしい。

 

自分の個性を十二分に自覚して、表明できてこそ、立派な仕事もできるし、仕事に対する強い自信とプライドをもつこともできる。
世の中に無益なものはない。石ころだってセメントと、混ぜればコンクリートになる。能があるのに口をつぐんで、ツメを隠しておいて、人に評価されようというのは、虫がよすぎるーというのが本田の持論だ。

 

要するに、自分の主張をはっきり表明すること、自分の価値を理解させること、実力のある者は堂々とその実力を誇示せよ、本田らしい言葉だ。

 

⑤   怖いのは失敗することではなく、失敗を恐れて何もしないことだ

 

「新しい大きな仕事の成功のカゲには、研究と努力の過程で、九九%の失敗が積重ねられている」

とは本田の名語録の一つである。

何か新しいこと、成功に向かって試行錯誤していく過程で失敗は当然である。問題なのは「この失敗を恐れて、何もしないこと」である。なぜなら、失敗を恐れて何もしなければ、成功は絶対にあり得ないからである。

 

人は座ったり、寝たりしている分には、倒れることはないが、何かやろうとして立ったり、歩いたり、駆け出したりすれば、石につまづいてひっくり返ったりすることもある。例え、膝小僧をすりむいても、少なくとも前進である。「失敗するのが怖いんだったら、仕事をしないのが一番だ」

 

「失敗の理由をいくら考えても意味はない。それよりも、次にどうすればよいのかを考えろ」

 

⑥    需要がそこにあるのではない。我々が需要をつくり出すのだ

 

ウォークマンは、一時、若者のアクセサリーとなっていた。ソニーのある技術者が「こんなものがあったら、音楽好きの自分には便利だな」と思って作ったのが爆発的な大ヒット商品となった。本田の言う「常に需要はアイデアと生産手段によってつくり出すものだ」との典型である。

 

新商品ばかりではない。昔からあって、新たな需要がのぞめそうでないものも、やり方次第で新たな需要が生まれる。例えば、カサである。これなど、新規の需要など見込めそうもないと思われるが、戦後、コウモリ傘は爆発的に売れたが、すぐ生産過剰に陥って、メーカーはつぶれた。

 

次に折りたたみ式の傘が考案され、第二のブームが再び訪れた。そしてダメになった。

 

続いて、ボタンを押すと自動的にパッと広がるアイデアで第三の波がきた。本田の言う通り需要は潜在的にあるもので、新しいアイデアで、商品化に成功すれば、石油層にボーリングが到達した時のように、新需要は噴き出す。

 

 時間はすべての生命である

 

米国人ジャーナリストのソル・サンダースは「ミスター・ホンダ」という本田宗一郎の伝記を出版した。

そのサンダースが本田にインタビューした時、約束の時間に本田は息を切らしてやってきた。実際、本田は遅刻していなかったが、「遅くなって申し訳ありません。遅れそうな時は必ず連絡するのですが、渋滞に巻き込まれ…」と弁解した。

 

この話のあと、本田は「私は時間は命であると思ってるんです。約束の時間に五分遅れたら、相手の命を五分奪ったのと同じですからね」と語り、サンダースは感銘を受けた。本田は言う。

 

「どんな発明発見も他人より一秒遅れれば、もう発明でも発見でもなくなる。このような例は多い。だから寸秒の時間もおろそかにできない。寸秒の時間が、偉大な価値を左右する。現代では時は金以上の価値であり、すべての生命である」

 

トップは役員会に出席するべからず

 

本田は創業当初を除いて、役員会にはほとんど出席しなかった。昭和三十九年に役員室ができてからは副社長も顔を出さず、四人の専務に経営を任せてきた。

 

創業した本田、藤沢武夫らが出席すると、結論が二点に流れるのを嫌ったのである。会社を興す人と、盛んにする人間では考え方が違い、創業社長がいつまでもガンバっていると、会社のエネルギーは失われてしまう。このことを本田は身にしみて知っていたのである。  本田は言う。

「私と副社長は創業者で、途中からすべり込んだ経営者とは適って、偉大な権力を持っている。この偉大な権力を持って役員会に臨んでごらんなさい。役員たちはぼくらの話を聞いていて、どう発言すれば喜ばれるか、と考えるでしょう。はじめから筋書きはわかっちゃっているんですよ。

放っておきさえすれば、役員は経営に一生懸命になりますよ。役員会で決めた結果を聞いて、悪ければもう一度練り直してくれと、ひとこと言えばそれですむことですから」

 

 以下もダブルが<破天荒な本田の経営語録>である。

 

①   トップは役員会に出席するな

②  成功は失敗の回数に比例する

③  仕事の成功のカゲには、研究と努力の過程で、九九%の失敗が積み重ねられている

④    怖いのは失敗することではなく、失敗を恐れて何もしないことだ

⑤  失敗の理由をいくら考えても意味はない。次にどうすればよいのかを考えろ

⑥  頭は使わないと常識的になってしまう。頭を使って不常識に考えろ

⑦  需要がそこになるのではない。われわれが需要を作り出すのだ

⑧  「得手に帆を上げよ」「好きこそ物の上手なれ」

⑨  「社員は得意分野で能力を発挿せよ」「能ある鷹はツメを誇示せよ」

⑩  どんな発明発見も他人より一秒遅れれば、もう発明、発見でもなくなる。時間こそすべての生命である

 - 人物研究, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本リーダーパワー史(458)安倍政権の2年目はまず内を固めよ「一人よがりの誤判断 (人為衝突ミス)は起こしてはならない」

       日本リ …

no image
日本リーダーパワー史(310)『日中国交回復40年で、尖閣列島で日中衝突激化!今こそ百年前を振り返える日中外交裏面史』①

 日本リーダーパワー史(310) 『日中国交回復40年で、尖閣列島で日 …

no image
日本メルトダウン脱出は可能か(596)●『世界経済を苦しめる需要低迷の呪い- 英FT紙)◎「1937年」の真の教訓とは何か」

    日本メルトダウン脱出は可能か(596) & …

no image
日中リーダーパワー史(932)-『軍事論、軍事研究のない国は亡びる」★『現在の米中貿易戦争、北朝鮮との紛争は130年前の日清戦争への経過と同じパターン』★『平和とは次期戦略情報戦の開始である(福島安正)』

日中リーダーパワー史(932)-   米中貿易戦争が激化し、米朝会談で …

no image
速報(262)★3・11から1年ー『孤立無援の中で警鐘を鳴らした河野太郎の危機のリーダーシップ

速報(262)『日本のメルトダウン』   <日本の政治家の中で、唯一、 …

no image
日本リーダーパワー必読史(743)『歴史復習応用編』<まとめ>勝海舟②ー日本史上最大の巨人・西郷隆盛と並び徳川幕府の最期を見事に幕引きした勝海舟はスゴイ!

日本リーダーパワー必読史(743)『歴史復習応用編』 <まとめ>勝海舟ー日本史上 …

no image
日本リーダーパワー史(223)『日本の政治家で最も少ないグローバルな戦略をもった経済政治家の先駆者―山本条太郎』 

日本リーダーパワー史(223)   <三井物産の中興の祖・山本条太郎> …

no image
知的巨人たちの百歳学(165)ー『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボル・植物学者・牧野富太郎(94)植物学者・牧野富太郎 (94)『草を褥(しとね)に木の根を枕 花を恋して五十年』「わしは植物の精だよ」

    94歳 植物学者・牧野富太郎 (1862年5月22日 …

no image
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(220)/「2019年の世界と日本と地球はどうなったのか」(下)『気候非常事態と日本』★『「日本は安全、安心な国」とのイメージが強いが、「紛争や災害の脅威による都市リスクランキング」(2019年版)では東京がワースト1、大阪が6位』  

いまや「巨大災害多発時代」「気候非常事態」に突入した日本 前坂 俊之(ジャーナリ …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(156)』『シャープ、新たに偶発債務 の浮上、契約延期、呆れて絶句です』焦点:シャープ偶発債務、鴻海再建案に不透明感 精査結果カギに』●『アベノミクスは最後の正念場を迎えているーGPIFの運用実績が政権にとって懸念材料に』●『コラム:共和党指名争い、トランプ氏「勝率9割」の理由』

  『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(156)』   『シャー …