百歳学入門③ー知的巨人たちの往生術から学ぶ③
2019/06/29
知的巨人たちの往生術から学ぶ③
前坂 俊之
(泥舟一竿)
朝日の[天声人語]の名コラムニストの荒垣秀雄さんは長寿の秘けつは″「義理を欠くこと」といっているね。私もつくずくそう思うようになった。トシを取るとどうしても葬式が多くなるんだ。とくに、冬場の寒いときに葬式に義理で出かけていって、風邪をもらって、死ぬ人がたくさんいる。死人にひきよせられるんだよね。参列はしない代わり弔電で、かんべんしてもらう。葬式は義理を欠かないと、こちらもおだぶつですよ。葬式の時刻に心からごめい福を祈り、故人の思い出をよみがえらせればよいのです。」
「それに、荒垣さんhが「健康長寿10訓」なるすばらしい贈り物を残してくれているんで、紹介しますね。『一怒一老、一笑一若』 『少肉多菜 少塩多酢 少糖多果 少食「多岨(たそ)この字が正確 少衣多浴 少車多歩 少煩多眠 少念多笑少言多行 少欲多施』です。
これは渋沢栄一の息子の民俗学者・渋沢秀雄さん(九十歳で死去)から利いた言葉らしいが、老人の知恵そのものですね」
『人間の生死は単に時間の長短、100歳まで長生きしたいじゃの、60、70歳では早死にしたじゃの、そんなことは問題ではないのです。100年も1年も人類、宇宙の歴史の何億光年からみるとほんの一瞬、一瞬にもならない極わずかな時間です。人生で一体何をやったのか、何を残したのか、それこそ問わねば成りません。
中国の寓話に老人の知恵を示す「愚公移山」という話があります。「北山の愚公」と呼ばれた九十歳の老人の話で、家の前の山が邪魔なので他に移そうと、回りから大ばか者とあざけりを受けながら、1人で箕でせっせ土を運んで、ついにやり遂げたというのです。
山西省にあったという周囲七百里、高さ百里の大きな山で、北側に住んでいた愚公は、この山が邪魔で邪魔で仕方がない。愚公はついに家族に「みんな一緒に力をあわせて何とか山を平らにしょう。そうすれば便利になる」と相談を持ちかけ、賛成を得た。
ところが妻だけは「あなたの力では小さな丘だって無理」と反対。隣の県の賢い人たちも「老い先短いのに、全くの大ばか者よ」とあざけり笑った。
愚公は「お前たちはずいぶんわからず屋だな。子供たちよりもだめだ。わしが死んでも子供がいる。子供が孫を生む。孫がまた子供を生む。その子供にまた子供ができる。こうして子々孫々うけついで行けば、山は今以上に高くはならないので、平らにできないはずはないではないか。」と。
天帝はこの愚公の行動に心を動かし、ついに山の位置を変更したという。これ以後、この付近には小さな丘さえなくなった」という話です。
これは江戸初期の儒者、窒鳩巣が『駿台雑話』の中で紹介し「およそ天下の事、愚公の心ならば遅くとも成就すべし。世のいはゆる愚は却って智なり、世の智は却って愚なり」と言っています。平櫛田中の心意気と相通じるものがあるよね。老人は愚かにみえても、智者であることが多いのです。
「世界一の最長寿の122歳を全うしたフランス人女性カルマンさんの健康長寿法とは・・」
ところで、ギネスブックが確認し記録がしっかり残っている世界最長寿は泉重千代(120歳)を抜いたフランス人女性のカルマンさんですね。彼女は1875年2月21日に南フランスのアルル生まれで、1997年8月4日に122歳の人類史上最長の生涯を閉じています。ゴッホがちょうどアルルに滞在して絵を描いていた時、13歳だった彼女は伯父さんの画材ショップで働いていて、ゴッホにあっており、「服装がだらしなく、「汚くて、不快な人」と記憶しているんですね。
大変活発で賢い女性で、晩年までスポーツをやり体をしっかり動かしていたといいます。85歳でフェンシングを始め、100歳の時に、まだ自転車に乗っていた。115歳で自転車で転倒したために、両足の大腿骨を骨折し、車椅子の生活となった。最晩年は、視力、聴力が衰えたものの、頭脳ははっきりしていて、121歳の誕生日には回顧談を収録したCDを出していますた。120歳の誕生日に将来のことを聞かれ、「私は最近、神に見捨てられてしまったのよ」
「私って、普通の御婦人でしょ」「勇気があるから、どんなことも恐れないわ」
「うまく行ったときはうれしかった。これまでに、しっかり正しいことのために行動したことに後悔はない。私は本当に幸運だった」など大変、ウイットに富んだコメントを残しています。〔以上はは白澤卓二「老化時計」中公新書2002年7月〕
カルマンさんは110歳を過ぎて骨粗老症、白内障、聴力障害などの避けがたい老人病にはなっていたものの、肝心の脳はまったく衰えずしっかりしており、ボケの兆候はみられなかったと、白澤氏はみており、人間は120歳までは元気に活動できるように設計されていると見ています。
では最後に、<長寿の食卓十ヵ条とはーーーーーー>
①伝統の食事を大切にする。
②ごほんは糖尿病予防になる
③魚は高血圧・ボケ防止に役立つ
④大豆はガンや骨租軽症を防ぐ
⑤野菜・果物は食塩の害を防ぐ
⑥牛乳・ヨーグルトで骨や血管を丈夫に
⑦海藻は脳卒中や心筋梗塞を防ぐ
⑧内臓料理は血圧・コレステロール値を下げる
⑨香辛料やだし汁を使って減食壇を
⑩家族と一緒に楽しい食事を
関連記事
-
-
人気記事再録/日本天才奇人伝②「国会開設、議会主義の理論を紹介した日本最初の民主主義者・中江兆民―②<その眼中には、国家のほかは何ものも影じない。兆民は伊藤博文、大隈重信ら元老連をコテンパンに罵倒す>
前坂 俊之(ジャーナリスト) …
-
-
『彫刻家・平櫛田中翁(107歳)の名言』「60,70、はなたれ小僧、はなたれ娘。80,90人間ざかり。100歳わしもこれから、これから』★『人間いたずらに年をとる。今やらねば、いつできる。おれがやらねばだれがやる』
↑写真は平櫛田中記念館(東京都小平市)の正面玄関横にある130歳まで生きるつもり …
-
-
『オンライン/ベンチャービジネス講座』★『日本一の戦略的経営者・出光佐三(95歳)の長寿逆転突破力、独創力はスゴイよ④』★ 『国難に対してトップリーダーの明確な態度とは・・』★『終戦の『玉音を拝してー➀愚痴を止めよ。愚痴は泣き声である②三千年の歴史を見直せ➂そして今から建設にかかれ』★『人間尊重の出光は終戦であわてて首切りなどしない。千人が乞食になるなら、私もなる。一人たりとも首を切らない」と宣言』
国難に対してトップリーダーはいかにあるべきか。 1945年(昭和2 …
-
-
知的巨人たちの百歳学(174)記事再録/日本最長寿の徳川家三代指南役・南光坊天海(108歳)の養生訓ー上野公園内の「墓碑」で長寿健康を祈る―『 養生法・長命には粗食、正直、湯、陀羅尼(だらに)、御下風(ごかふう)あそばさるべし。』★『養生訓「気は長く 勤めは固く 色うすく 食細うして 心ひろかれ」
2015/02/05/百歳学入門(102)・ 日本最長寿の徳川家三 …
-
-
『オンライン/百歳学入門(130 )『百里を行くものは、九十里を半ばにす』 ●『心は常に楽しむべし、苦しむべからず、身はつねに労すべし、 やすめ過すべからず』貝原益軒) 』●『老いておこたれば、則ち名なし』●『功のなるは、成るの日に、成るにあらず』●『 咋日の非を悔ゆるものこれあり、今日の過を改むるものすくなし」(佐藤一斎 )
百歳学入門(149)記事再録 『百里を行 …
-
-
『オンライン百歳学入門』★「富岡鉄斎(87歳)ー『創造脳は長寿脳である』★『 万巻の書にかこまれて、悠々自適の晩年』★『万巻の書を読み万里の路を行くー鉄斎芸術の源泉とは』
2019/06/19 『知的巨 …
-
-
知的巨人たちの百歳学(135)『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボルー 映画監督・脚本家 新藤兼人(100) 、宗教思想家 西田天香 (96)に学ぶ
知的巨人たちの百歳学(135) 『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボル …
-
-
百歳学入門(40) 昭和の傑僧、山本玄峰(95歳)の一喝!『法に深切、人に親切、自身には辛節であれ』
百歳学入門(40)―『百歳長寿名言』 &n …
-
-
知的巨人たちの百歳学(109)ー『屋敷も土地も全財産をはたいて明治の大学者/物集高見、高量父子が出版した大百科事典『群書索引』『広文庫』の奇跡の「106歳物語」⓵
屋敷も土地も全財産をはたいて明治の大学者/物集高見、高量父子が出版した大百科事典 …
