前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

「日中韓150年戦争史」(79)日清戦争の「三国干渉」,【腐敗した清国軍の実態】 を現在の<日中ロシア外交>の教訓とせよ

      2015/01/01

  

  

◎『外国の新聞、ロシア紙「ノーヴォエ・ヴレーミャ」

などからみた「日中韓150年戦争史」―

日中韓ロのパーセプションギャップの研究』79

 

日清戦争の「三国干渉」,【腐敗した清国軍の実態】

を現在の<日中ロシア外交>の教訓とせよ

  

 

  日清戦争の勝利の結果、下関条約(日清講和条約)が1895417日に下関の春帆楼で締結され、その1週間後の423日に「三国干渉」(ロシア・フランス、ドイツ)の軍事力を背景にした介入があった。日本側は涙を呑んでこれに屈伏して、下関条約でえた遼東半島を返還したのである。この強国のアブラゲにトンビの帝国主義的、強奪行為に対して、日本側は約10年間、「臥薪嘗胆」して、対ロシアの中國,朝鮮、日本を併呑しようとする侵略に対して防衛戦に立ち上がったのが、日露戦争の真実なのである。

以下の「三国干渉」3ヵ月前のロシア紙の記事を読むと、日清講和の条件によってはすでに軍事介入することをヨーロッパ列強で外交協議し、利害を調整していたことは各国の新聞に詳細に報道されていたのである。

日本側は当然、各国の出方を予測しながら「日清講和」に当たったが、「三国干渉」を予測できなかったのであり、未然防止、リスク管理の外交戦に敗れたといえるだろう、これは日露戦争でも同じ、戦争に勝って『ポーツマス外交で敗れて』、日清戦争以上に、何も得るところはなかったのである。

日本の戦争のパターンはいつも膨大な戦費と、兵士の多大な犠牲の結果の勝利をやっとつかんでも、得るところは非常に少ない、戦争に勝って、外交では必ず負け続ける拙劣なやり方なのである。それと、ロシア紙「ノーヴォエ・ヴレーミャ」の日清、日露戦争までの記事を読むと、一貫してロシアの膨張・侵略主義の露骨な主張が語られており、いまのロシアも全く変わっていないことに改めて気づく。

➁ 330日付同紙の「なぜ弱いか中国軍―の腐敗、烏合の衆の実態」は現在も引き継がれている中国軍の「張り子のネコ」の実態とあまり変わっていない。この弱体軍に勝ったからといって、日本がどこまで精鋭部隊であったの、冷静に検討する必要がある。

 

 

 

   1895(明治28)年29日 ロシア紙「ノーヴォエ・ヴレーミャ」

 

 

ロシア,イギリス,フランスの3国の間には日清戦争に

将来干渉することで合意、中国の未来は日本の手中にはない。

 


ロシア,イギリス,フランスの3国の間にはどうやら日中紛争に将来干渉することですでに合意が成立しているようだが,この合憲の基本原則に関してタイムズ紙のパリ通信員が入手した情報がどの程度信頼できるものか,われわれにはわからない。

 

しかし,われわれの見るところでは,これらの「基本原則」が本当らしくないとか.あるいは諸列強政府の利害に合致しないなどと考える理由はない。諸列強政府は.日本の軍事的成果がどれほど大きくても,自分たちの利益をどうしても考慮に入れなければならないということを,日本に思い出させようとしているのだ。

 

 

 全く適切だと思われるのは.いざ干渉というときが来ても,干渉は私心のない性格を保つこととするという条件だ。ロシア,イギリス,フランスの極東における利害には深刻な矛盾があるため.領土獲得の問題を議題にのぼらせることは厳しく抑制する方が望ましい。列強は,日本の勝利のもたらし得る結果について,自らの見解を日本に対して表明しようとしているが,これらの国の課題は,少なくとも現時点では.日本がこれまでどおり純粋な「島国」的性格を維持し,中国大陸に居座ることができないように配慮することだけかもしれない。

 

周知のように,これ以前の軍事的失敗に際しては.歴代の中国皇帝がこのように負けを認めたことは1度もなかった。何世紀にもわたる「中華帝国」の傲慢な鼻をこのようにへし折ることは,これまでの極東の事態を一気に変えてしまうような大手柄となるだろう。そして.全く当然のことながら,このような壊滅的打撃を中国に与える原因となった日本がロシア,イギリス,フランスの利害と一致する範囲において,自分の勝利の成果を利用することは,許されてしかるべきだろう。

 

 

 しかし日本政府は.この許容範餌を超えようなどと考えるべきではない。朝鮮に対するいわゆる「無条件」保護統治や,満州の一部の日本への割譲に至っては論外だ。

 

 中国の未来は日本の手中にあるわけではない。中華帝国はヨーロッパの3強国と直接儀土を接する隣国である。そして,中華帝国が現状のような巨大な規模での政治的存続が将来不可能になった場合.ある程度までかっての「天子たち」の後継者となる権利を主張するのはこの3国にとって当然のことであり,これまでの歴史的経緯からこの3国は自分の当然の権利にだれも干渉しないよう配慮すべき立場に立っている。

 

ところが日本は.周知のとおり全く違った考えをしている。日本はその軍事的成功によって.これまで極東で中国が占めていた位置をわがものとしようという野心を抱くようになった。この野心を許してはならないし,また許されることはないだろ

う。

 

  1895330ロシア紙「ノーヴォエ・ヴレーミャ」

 「なぜ弱いか清国軍(中国軍)―腐敗、烏合の衆の実態」

 

中国から帰ってきたばかりのオブルチェフ氏がノーヴォスチ紙上で今回の旅の印象を述べている。その印象は,中国の威信と勢力を裏付けるものではなく,中国が今後、日本との戦争に敗れることをオプルチェも氏は確信している。

 

中国は兵学においていかなる進歩もしていない。そして,それを説明するためにオブルチェフ氏は.1つの例として「立派な人間は兵士にならない」という中国のことわざを引いている。

このことわざを裏書して,中国で兵士になるのは多分,「実際,一番役立たずで,正業を厭(いと)い、軍隊の給料をもらってぶらぶらしている方を好むような連中」なのだろう。「こういった兵士は」と,オブルチェフ氏は言う-「当然のことながら大砲の的になることを好まない。敵方であろうと自国民であろうと、かまわず住民を略奪する方を選ぶ」好機のあり次第,戦場から逃げ出し,絶体絶命の状況,つまりこっそり逃げ出すこともできず.また捕虜になることは敵に処刑されるかもしれないので恐ろしいという状況になるまで戦おうとしない。

 

中国軍の道徳面と軍事面での水準の低さをいっそう低くしているのは.平和時での軍の平時編成要員のうち3分の1から半数までの登録が書類上のものでしかないという事情だ。長官たちは国庫から全定員分の給料と食料を受け取るが私腹をこやすために節約をし,定員全体の半分から3分の2しか維持しない。

 

閲兵や行軍のときは,ボロを着ているさまざまな浮浪者に急場しのぎに服を着せ.武器を与えて,不足している人数を補う。このような軍隊が.なんらかの訓練を受けている常備の要員よりさらに低劣なのは言うまでもない。

 

わたしが陳西陝西省(せんせいしょう)の楡林(ユイリン)府の近くを旅行していたとき、この地の指揮官が部隊を補充するのに十分な数の浮浪者を.司令部の閲兵までに見つけられなかったことがあった。その結果,背任行為が明るみに出たため.この男は懲罰を逃れるために,中国人特有の平然さでもって自分ののどをかき切り死んでしまった」

 

 オブルチェフ氏の観察によれば.中国の文官制度もその他の社会制度も,これと同じくらい悪いか,あるいは全く役に立たない。これでは筆者としても,中国の勝算は日本の勝算とは全く比べものにならないくらい低いものと考えざるを得ない。日本では進歩に対して,中国人とは違った態度で取り組んできたからだ。

 

 - 現代史研究 , , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
<近藤健氏の米国深層レポート③>●『アメリカ政治社会の“ねじれ”と大統領選挙』

<近藤健氏の米国深層レポート③>   ●『アメリカ政治社会の&l …

no image
 世界、日本の最先端技術『見える化』チャンネル ★5『中国溶接・切断ロボット業界の最新動向』- 『 溶接・切断の国際的な専門展示会として、アジア最大規模の 「北京エッセン溶接・切断フェア」(6/14―17)の最新レポート』●『安川電機を筆頭に、ファナック、川崎重工業、不二越、 自社製の溶接機と各種溶接ロボットを 組み合わせたソリューションを提供するダイヘン、 パナソニックの全6社が出展。

 世界、日本の最先端技術『見える化』チャンネル ★5『中国溶接・切断ロボット業界 …

no image
『オンライン/日本経済150年史での代表的経営者の実践経営学講座』★『日本興業銀行特別顧問/中山素平(99歳)昭和戦後の高度経済成長の立役者・中山素平の経営哲学10ヵ条「大事は軽く、小事は重く」★『八幡、富士製鉄の合併を推進』『進むときは人任せ、退く時は自ら決せ』

  2018/05/12 /日本リーダーパワー史( …

no image
『私が私が尊敬した日本人列伝①』★『正義を希求し「死刑と冤罪(司法殺人)と人権擁護で命をかけた正木ひろし弁護士をしのんで』★『その生涯と追憶、著作目録など』

「正木ひろし弁護士をしのんで」 その生涯、追憶、著作目録。及び参考文献 &nbs …

no image
『オンライン現代史講座/1930年代の2・26事件の研究』★『太平洋戦争(1941年)へのターニングポイントになった2・26事件<1936年(昭和11>当時のマスコミの言論萎縮と「世直し明神・阿部定事件』★『 二・二六事件でトドメを刺された新聞』★『愛する男の命を絶っまでに愛を燃焼し尽くした純愛の女として同情を集め、一躍〝サダイズム″なる新語まで生まれた』

 太平洋戦争へのターニングポイントになった2・26事件<1936年(昭 …

no image
★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日本側が伝えた日英同盟の分析」⑤『機密日露戦史』谷寿夫著より』日露協商か、または日英同盟か』★『桂太郎首相の意見は、ロシアは満州の占領のみで最終とするものではない。満洲が手に入れば韓国にもその手を伸ばす、結局、日本が手を出す余地がなくなるまで、その侵略はやまないであろう』

★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日本側が伝えた日英同盟の分析」⑤   …

no image
 『 地球の未来/世界の明日はどうなる』< 世界、日本メルトダウン(1040)>『トランプ大統領の就任100日間(4/29日)が突破した』③★『トランプ政権の黒幕/スティーブ・バノン大統領首席戦略官が外された。』●『  「もっと簡単だと思っていた」、トランプ氏が大統領の職を語る』★『オバマケア改廃法案、米下院が可決 トランプ氏に追い風』

 『 地球の未来/世界の明日はどうなる』< 世界、日本メルトダウン(1040)> …

no image
速報(408)『日本のメルトダウン』『●『中国経済が転倒しかねない理由』●『インドは世界の強国になれるか?』

 速報(408)『日本のメルトダウン』   『中国・習近平体 …

no image
<世界大乱!『EU、中国はどうなるのか』―竹森俊平 慶応大学教授、與那覇潤・愛知県大准教授の記者会見

<世界大乱!―『EU、中国はどうなるのか』― 日本記者クラブで専門家が語る> & …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(151)再録★-『名門「東芝」の150年歴史は「名門」から「迷門」「瞑門」へ」●『墓銘碑』経営の鬼・土光敏夫の経営行動指針100語に学べ』★『日本老舗企業にとって明日はわが身の教訓、戒語です』

       2017/02/ …