前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『リーダーシップの日本近現代興亡史』(216)/「アメリカ初代大統領・ワシントン、イタリア建国の父・ガリバルディと並ぶ世界史の三大英雄・西郷どん(隆盛)の偉業を知らないのは日本人だけ』★『現在われわれ日本人が豊かに平和に暮らしていけるのは150年前に西郷どんが封建日本(士農工商の身分制度)を明治革命で倒して近代日本民主社会(四民平等社会)を作ったおかげだよ』★『征韓論を唱えたのが西郷どんで、朝鮮、アジア差別主義者だなどと木を見て森をみずの論議をしている歴史音痴の連中が多すぎる』

   

西郷どん(隆盛)奴隷解放に取組む」★『世界初の奴隷解放』のマリア・ルス号事件とは何か。

   /日本リーダーパワー史(859)記事再録

                                    前坂 俊之(ジャーナリスト)

「世界史の英雄・西郷どんー奴隷解放に取組む」             

「西郷隆盛は世界的な英雄だった」とは明治文化研究会、評論家・木村毅(1894- 1979)の「世界人としての西郷南洲先生」(昭和28年)での弁である。

西郷はアメリカ独立戦争の英雄で初代大統領ワシントンやナポレオンらを尊敬しており、壁に肖像画をかけて、封建武士階級社会を打破し、自由・人権・平等社会を希求した。

ワシントンは元は黒人奴隷農場の牧場主であったが、1789年の第一回米国議会で初代大統領に選ばれ、2万5千ドルの給与が決定された。ワシントンは無私の公僕精神からこの給与を辞退した。

西郷も同じく陸軍大将に任じられた時の給与(五百両)を辞退しており、無私の精神は共通しており、奴隷解放にも取り組んでいる。

当時、世界的に有名だったイタリア建国の父・ガリバルディは、南米各国の独立運動にも活躍して「二つの世界の英雄」とも呼ばれていた。

西郷とは同時代の英雄で、その悲劇的な最期でも共通しており、日本でも有名だった。評論家・三宅雪嶺は「西郷が民主的思想の持ち主で、人格高潔でもはるかに上回る」と高く評価した。

世界史18、19世紀では日本が徳川幕藩体制に眠っている間、英国は産業革命が発展し、フランス市民革命(1789-99)、米国は南北戦争(1861―1865)、ドイツ統一(1864-1871)などのグローバリズムの大波が日本にも押し寄せてきて、西郷ら明治の志士たちによって明治維新が実現した。

「西郷を日本開国の父」とすれば、その思想的リーダーは福沢諭吉である。

福沢は『門閥制度は親の敵(かたき)でござる』と封建徳川時代を激しく批判した。

「生まれた段階で身分が決まる封建階級社会で下級武士の父親は学問を志しながらも、下積みの仕事しか与えられず、無念のうちに45歳の短い生涯を終えた」ことへの強い怒りだった。

福沢は「学問のすすめ」(明治5年)の冒頭で『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず』という有名な言葉を書いた。人間はすべて平等であり、貧富・家柄・職業・社会的身分などによって差別することに反対して、父の敵(かたき)を討つたのである。

この決めセリフは米国独立宣言(1776年)の中の『すべての人間は生まれながらにして平等であり、生命、自由、幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている』の一節を福沢が翻訳、自己文章化したものだ。

福沢は西郷の行動に共鳴して、明治10年、西南戦争で敗北した後も『丁丑公論(ていちゅうこうろん)』で西郷を一貫して擁護し、最後まで支持していた。2人は真からの民本主義者(民主主義者)であったのだ。

ところが、西南戦争以後、明治政府は西郷に国賊・反逆者・軍国主義者のレッテルを張り、今日に及んでいる。西郷の真の姿は平和主義者、非戦論者だったことは、次の事実にも示されている。

  • 勝海舟との2人だけの会談で「江戸城無血開城」を1言のもとに了承し、江戸を戦火から守った。世界史でも稀な和平会談であった。
  • 廃藩置県で専制君主(藩主)を倒して、士農工商制度を廃止し、人権平等社会を実現した。
  • 関東、奥州三藩の反抗諸藩を戦後、寛大に処置した。
  • 征韓論は韓国との戦争を避けるために、武力派を抑え、文官として西郷が単身で交渉派遣に臨んで説得することに端を発した。

「マリア・ルス号」で中国人奴隷を解放した世界史的偉業

西郷参議(総理)中の明治五年六月四日、ペルーの帆船「マリア・ルス号」が清国人苦力(奴隷)二百三十二人をのせて横浜に入港した。この清国人は、ぺルーに売られていく奴隷であることがわかった。外務卿・副島種臣はこの非人道的行為を見逃さず、神奈川県参事の大江卓に命じ、同船の差し止めと同船長を告発した。

神奈川県令・陸奥宗光や司法卿・江藤新平らは、国際問題に発展することを恐れて、副島の措置に反対したが、副島は特設裁判所を開かせ、大江卓を裁判長として審理させた。

独、仏、伊、デンマーク、ポルトガルの五領事は反対し、米、オランダの二領事は中立、英国領事は外務省の意見に賛成した。日本政府の陪審判事3人も不干渉論を唱えたが、副島は裁判長大江卓の意見どおり裁判させ、清国人解放の判決を下し、全員、中国に送還した。

奴隷売買が世界的に横行していた時代に、大国に追随せず正義と人権を守り通した判決が出たのは、西郷参議が副島の意見を全面的に支持して、断固として反対派を押さえたためであった。

「国の本来の政治は軍備の不備を恐れず、1国の運命をかけても、正論を以てこれを貫くべし」というのが西郷の持論であった。同年10月の芸娼妓解放令に至る契機ともされる。

一方、岩倉西欧使節団から帰国した大久保利通、伊藤博文らはすっかり『外国恐怖症』になり「外交を事なかれ主義」「追随外交」に舵を切っていった。

これが日本外交のルーツである。

日本リーダーパワー史(858)ー国難の救世主「西郷隆盛のリーダーシップ」に学ぶ。明治維新の主な大改革は西郷総理の2年間に達成された。

http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/27319.html

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『中国紙『申報』などからみた『日中韓150年戦争史』㊹日清戦争勃発1ヵ月前の『ノ-ス・チャイナ・ヘラルド』『申報』の報道」

  『中国紙『申報』などからみた『日中韓150年戦争史』 日中韓のパー …

『日中台・Z世代のための日中近代史100年講座⑧』★『日本恋愛史の華』★『憤怒の眦(まなじり)を決して伊藤伝右衛門氏下関で語る』「大阪朝日」

2015/01/01/NHK「花子とアン」のもう1人の主人公・柳原白蓮事件(7) …

no image
速報(259)★『日本のメルトダウン』『小出裕章氏と原発推進派・澤田哲生氏の討論』『プルトニウム241初検出』

速報(259)『日本のメルトダウン』   ★『3月7日 小出 …

no image
●<記事再録>巨大地震とリーダーシップ②3・11から5年目に熊本地震発生―危機突破の歴史リーダーシップに学ぶ②関東大震災と犬丸徹三(帝国ホテル創業者)

 (記事再録)2011/04/03  日本リーダーパワー史(136)  帝国ホテ …

no image
◎『津上俊哉氏(津上工作室代表取締役)の「中国経済、政治、外交の今後の中国の展望」の日本記者クラブ会見動画(9/10)

    ◎『津上俊哉氏(津上工作室代表取締役)の「中国経済、 …

『オンライン/サーフィン』史上最大級の台風10号九州接近中の稲村ケ崎サーフィンー稲村ケ崎先端100m沖の逗子側のポイントでビッグウエーブが立っていた、プロ級を含め約50人がチャレンジ!すごい迫力満点だね!』

前坂俊之チャンネル、鎌倉サーフィンチャンネル 『速報①』史上最大級の台風10号接 …

SEMICON JAPAN2018(12/12)-『人機一体ロボット』のデモ、身長4m「巨大人型重機」が人と機械の新たな未来を開く

SEMICON JAPAN2018(12/12、東京ビッグサイト)-『人機一体ロ …

no image
◎<日本最強の参謀は誰か-杉山茂丸>⑧明治の政治・外交・戦争を影で操った破天荒な策士・杉山茂丸の黒子人生

    ◎<日本最強の参謀は誰か-杉山茂丸>⑧   …

『Z世代のための日本興亡史研究』★『2011年3月11日の福島原発事故発生で民主党内の菅直人首相対鳩山由紀夫、小沢一郎、野田佳彦の派閥闘争が激化、自滅した』★『成功例の江戸を戦火から守った西郷隆盛と勝海舟、高橋泥舟、山岡鉄舟(三舟)の国難突破力①』★『人、戒むべきは、驕傲(きょうごう)である。驕心に入れば、百芸皆廃す』(泥舟)』

2011/06/04 日本リーダーパワー史(157)記事転載再編集 『江戸を戦火 …

no image
  日本メルトダウン(1024) 『3・11東日本大震災・福島原発事故から6年』ー『(動画対談)トモダチ作戦を忘れるな 原発容認から脱原発へ 小泉純一郎元総理が「脱原発」へと考えを変えた理由とは?』★『なぜわれわれは福島の教訓を活かせないのか 田辺文也氏(社会技術システム安全研究所所長)』●『  東日本大震災6年後もなお山積する課題ー室崎益輝氏(神戸大学名誉教授)』●『小泉純一郎元首相「どうかしている。発想がわからない」 安倍晋三政権の原発輸出政策を批判』★『毎日新聞「ダム底 高濃度セシウム」報道に誤り多数』

   日本メルトダウン(1024) 『3・11東日本大震災・福島原発事故から6年 …