『リーダーシップの日本近現代史』(257)/ 「2019国際ロボット展」(「協働ロボット、サービスロボットがつなぐ人に優しい社会)=1219/12/18ー21) で 日本ロボット産業の現状をみた』★『2020年は5G、AI元年だが、日本のAI(人工頭脳)産業のー未来は明るいか!』
ロボットの未来ー2020年は5G、AI元年となる
前坂 俊之(ジャーナリスト)
2年に1度開催される世界最大級の「2019国際ロボット展」が「協働ロボット、サービスロボットがつなぐ人に優しい社会」をテーマに2019年12月18日から4日間、東京ビックサイトで開催された。出展は637社・団体、3060小間。海外14カ国、88社が出展、過去最高となり、141,133名(前回130,480名)の入場者があった。
展示の多い産業用ロボットは従来の自動車や電子部品業界から食品、医薬品の生産現場、物流や建設の幅広い現場へも導入が進んでいる。
IoTやAI技術との連携したロボット(知能ロボット)や「協働ロボット」も登場し、バラ積みされた部品のピッキング、ロボットによる自律的な組み立て作業などを行うレベルに進化している。サービスロボットゾーンでは、介讃・福祉、災害対応、農業、教育など実生活で活躍するロボットが多数、展示され、高齢化と人手不足と効率化の3重苦に悩む日本の課題を解決する日本の最先端技術が結集した国際展示会となっている。
2017年の日本の産業用ロボット販売台数は、世界販売シェアの56%を達成。2015年の産業用のロボットと日常生活支援サービスロボットの合計売り上げは1.5兆円だが2035年にはその5倍の9,7兆円が見込まれており、今後の一大成長分野として期待が大きい。
会場でひときわ目を引いたのはMUJIN(自動化する汎用的ロボットコントローラを開発した会社)で、物流ロボット化トータルソリューションのプレゼンテーションが盛況だった。同社は昨年、インターネット通販大手の京東商城に18台のロボットを納入し、世界で初めて上海で「無人ロボット倉庫」を完成、このほど。ユニクロとも提携した“ロボットの革命児”、として注目されている。
2020年は5G、AI(人工頭脳)元年ともいわれる。5G(第5世代移動通信システム)によって、「通信量は2010年台の1000倍、通信速度は4Gの100倍で、自動車、ドローン、ロボットの自動制御などに使われる。IoTの普及で、都市部などの大量の端末が5Gネットワークのより速い拡張、改良、短時間でのサービス実現が可能となる。
人工知能の世界的権威のレイ・カーツワイルはプレ・シンギュラリティ(技術的特異点)として、2020年後半には、「仮想現実(バーチャルリアリティ)は、本当の現実と区別がつかないほど高品質になる」「一部の軍事無人偵察機や陸上車両は100%コンピュータ制御される」(2025年)、精神転送(マインド・アップローディング)は成功し、人間がソフトウェアベースになる」(2030年代)。
2045年には「10万円コンピューターは全ての人間を合わせたより知的となる」「AI(工知能)は地球上で最も賢く最も有能な生命体としての人間を上回るように発生する」と様々な予測をたてている。
果たして、この予測が当たるかどうかは不明だが、5Gネットワーク、IT、IoT(ものインターネット)、モビリティー(スマホ、センサーなど)、クラウド、AIロボット(ドローン)、VR、遠隔操作、量子コンピュータ、ブロックチェーンなどなどが結ばれ、あらゆる場所で、あらゆる端末で、人とモノ、自然、世界、地球が自由自在にリアルタイムにつながり、人間を超えるAIによって超高速でやりとりできる想像を絶する近未来が幕開くことは確かだ。
そのため、5G,量子コンピュータ開発、AIでの米中、世界各国の開発競争は一層激烈化しているが、日本ではこれをになうAI専門家、AI関係人材が決定的に不足している。
人工知能スタートアップ・Element AIがまとめた「AI人材世界ランキングでは1位米国(1万2027人)、2位英国(2130)、3位カナダ(1431)4位フランス(1034)、5位ドイツ(902)6位スペイン(633)7位中国(619)8位インド(430)9位日本(321)10位シンガポール(312),14位韓国(168)となっており、日本は米国のなんと80分の1である。
12月3日に経済協力開発機構(OECD)が発表した79の国と地域の15歳を対象とした国際学習到達度調査(PISA)の結果によると、2018年の読解力ランキングで日本は15位となり、12年の4位、15年の8位から急落した。
読解力とはすべての学びの土台である。読解力がなければ数学の問題も科学の知識も理解することができない。なぜ下がったのか。
➀今回の問題ではネット空間で「情報を探し出す力」と「(情報を)評価し、熟考する力」を測る問題の成績が下がった②パソコンの利用を前提に作り直され問題だったため、生徒が十分対応できなかった。➂「自分の考えを根拠を示し、相手に伝わるように書く力」の不足で、記述式問題の平均正答率は前回比8ポイント減だった、と専門家は指摘する。
コンピューターの先駆者IBMのワトソンの社訓は「THIK(考えよ!」で「すべての従業員が「考える人」になるように奨励した。
考える人を育てるため、思考力と読解力を鍛えることが教育である。読書し、スマホだけでは、読解力は育たない。ましてやデジタルAI読解力は実につかない。大人にもデジタル中小大企業の経営者にも読解力のない人が多い、2019年の国際競争力ランキングで日本はついに先進国最下位の30位に大転落したが、それが原因だ。
20年後の日本再生のためにも青少年の「デジタル読解力」の復活に託すしかないが、今回の大学共通テストの英語民間試験の活用と国語、数学の記述式問題の排除は日本沈没を一層加速させるだろう。
関連記事
-
世界が尊敬した日本人◎「メジャーリーグを制した「野球道」の天才 ・イチローは現代の宮本武蔵なり」
世界が尊敬した日本人 ◎「メ …
-
『Z世代のための最強の日本リーダーシップ研究講座】㉝」★『120年前の日露戦争勝利の立役者は児玉源太郎、山本権兵衛』★『日露開戦4ヵ月前、前任者が急死したため児玉源太郎は二階級(大臣→参謀次長)降下して、決然として立ち、日露戦争全軍を指揮した』★『わが戦略が失敗すれば、全責任を自己一身に帰して、内閣にも、参謀総長にも分たず、一身を国家に捧げる決意で取り組む」と決意を述べた』
児玉源太郎副総理(内大臣、台湾総督)は二階級(大臣→参謀次長)降下 …
-
日本リーダーパワー史(415)『インド独立の原点・日本に亡命帰化しインド独立運動を指導したラス・ビハリ・ボース (中村屋ボース』
日本リーダーパワー史(415) グローバルジャパニーズ 『インド独立 …
-
速報(51)『日本のメルトダウン』―動画YouTube配信―原発事故『噂と真相」ー3人のジャーナリストが一刀両断
速報(51)『日本のメルトダウン』 ―動画YouTube配信―原発事故『噂と真相 …
-
名リーダーの名言・金言・格言・苦言・千言集⑫『勝負師に年齢はない』(大山康晴)『愛嬌は処世上の必要条件』(大倉喜八郎)
<名リーダーの名言・金言・格言・苦言 ・千言集⑫ 前坂 俊之 …
-
『Z世代のための<憲政の神様・尾崎咢堂の語る<日本史上最大の英雄・西郷隆盛を理解する方法論>の講義⑯』★日本リーダーパワー史(84)尾崎行雄の傑作人物評―『西郷隆盛はどこが偉かったのか』★『リーダーシップは力より徳にある>』
2010/08/09 日本リー …
-
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(216)/「アメリカ初代大統領・ワシントン、イタリア建国の父・ガリバルディと並ぶ世界史の三大英雄・西郷どん(隆盛)の偉業を知らないのは日本人だけ』★『現在われわれ日本人が豊かに平和に暮らしていけるのは150年前に西郷どんが封建日本(士農工商の身分制度)を明治革命で倒して近代日本民主社会(四民平等社会)を作ったおかげだよ』★『征韓論を唱えたのが西郷どんで、朝鮮、アジア差別主義者だなどと木を見て森をみずの論議をしている歴史音痴の連中が多すぎる』
西郷どん(隆盛)奴隷解放に取組む」★『世界初の奴隷解放』のマリア・ルス号事件とは …
-
速報(191)『日本のメルトダウン』『ユーロ圏債務危機は世界経済破綻の引き金になるか』★『西欧の没落』がやっと始まった?
速報(191)『日本のメルトダウン』 ●『約100年前の第一次世界大戦(1914 …
-
F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(235)ー『台湾の脱線事故で日本車両が「設計ミス」があったと責任を認め自己発表』★『隠蔽して良心の呵責に苛まれながらも、目先の損失を免れ、会社として公的組織的な改革を避ければ、倫理的な腐敗、人心の荒廃、組織の崩壊に繋がる』
F国際ビジネスマンのワールドニュースウオッチ(235) >& …
-
日本リーダーパワー史(47) 辛亥革命百年①現代中国の国父・孫文を助けた日本人・梅屋庄吉「我は財を挙げる」
日本リーダーパワー史(47) 現代中国の国父・孫文を助けた日本人・ …