池田龍夫のマスコミ時評(26) 民主党「統治機能」再構築こそ急務―党内抗争による〝政治空白〟の罪―
既に『ねじれ』をはじめ、困難な問題は山積している。今度の代表選でどちらが勝利するにしろ、この選挙と統治とのバランス崩壊を加速するようなことは慎むこと、子供じみた権力ゲームを慎むこと、これが政権党の常識でなければならない」と、佐々木毅・学習院大教授が指摘(東京新聞9・12朝刊)している通りで、国民本位の政策を断行する統治能力こそ「民主政治の要諦であろう。
「代表選を数カ月延ばして、緊急経済対策を断行すべきだ」との声は届かず、一票の権利を行使できない一般国民は、「代表選び」に一喜一憂、〝国民不在の政治〟を慨嘆するばかりだった。一応の決着がついた今、その不手際を非難しても詮無い事だが、この間メディアの取り上げ方に問題はなかったか、具体例を検証して考えてみたい。
国政選挙のような規制がないため、人気投票さながらの様相。大手メディアの調査結果は概ね「菅支持60%前後、小沢支持30%前後」との数字で一応の人気度は分かるものの、「これが世論」と言わんばかりの報じ方が気になった。各社の電話調査は固定電話所持の約二〇〇〇サンプル(回収率6割くらい)から抽出したものだが、ここに大きな問題点が潜んでいる。
固定電話を持たず、携帯電話かインターネットに頼る若者が激増している現状からみて、「世論調査の精度」に疑問が最近投げかけられていることを念頭に、報道の仕方をもっと工夫すべきではなかったか。「大手メディアの電話調査は、『世論』を誘導している」との批判を無視できるほど、現行の調査精度が高いと断言できないからだ。この点、「ネット世論調査」が、代表選について全く逆の数字を明らかにしていることに注目した。さまざまなネットが調査結果を流しているが、「zakzak」(9・10)が伝えた一例を引用して参考に供したい。
低俗化したほうが、購読者は増え、視聴率は上がると考えているのだろうか。ところが、この考え方こそが、人々を離してしまったのだ。……少なくとも、選挙では一票を投じた人であり党なのだ。なのにマスコミは、政権を取るまでは持ち上げておきながら、政権をとるや手の平を返したように、あることないことに批判を浴びせる。いや、批判ではなく非難だ」と塩野七生さん(作家)が憤慨(月刊文春10月号)していたが、今回の〝過剰報道〟への辛口批評と受け止めたい。両候補の政策論には具体性が欠如しており、この点こそメディアが問い詰めるべきだったのに、質問する記者の問題意識が希薄で、危機打開に向けた独自の主張もなく、結果的に〝お祭り騒ぎ〟に終始してしまった印象だった。
他紙の論調も「政権内の総合調整機能を強めつつ、意思決定の一元化と透明化を急ぎ整え直さなければならない」(朝日)、「真っ先に対応すべきは、円高・景気対策だ」(読売)といった調子で、混迷政治に終止符をうって〝国民本位の政策〟を要望していた。
「名護市議選(9・12)で、辺野古移設に反対する稲嶺進市長を支持する与党が過半数を占めた。この期に及んでも菅首相は『名護の
皆さんの一つの民意の表れと理解している』としつつも、辺野古移設の方針を堅持する姿勢を変えていない。…名護市議選でも明確に示された通り、沖縄の民意は県内移設反対だ。
日米合意の実現は不可能だ。新内閣のやるべきは沖縄の民意を正しく受け止め、日米合意を撤回することしかない。その意味では普天間返還・移設問題をめぐる菅改造内閣の思考や発想の大改造が必要だ。対米追従から県民本位の安保論議を強く求めたい」という琉球新報社説の訴えを、菅新政権も本土・有権者も真剣に受け止めなければならない。
関連記事
-
-
日本リーダーパワー史(417)『軍部テロと闘った不屈の新聞人・菊竹六鼓ー世界の報道人100人」に選ばれた』
日本リーダーパワー史(417) 『軍部テロと闘った不屈の新聞人・菊竹 …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ回想録④』★「パリ・ぶらぶら散歩/ピカソ美術館編」(5/3日)③ーピカソが愛した女たち《マリ=テレーズ・ワルテル」》
2015/06/03『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッ …
-
-
野口恒のインターネット江戸学講義(18)『江戸は意外に「実力主義」の競争社会―人材登用と開明政策を進めた田沼意次』
日本再生への独創的視点<インターネット江戸学講義(18) 第8章 …
-
-
日本メルトダウン(1006)―『惨敗!プーチンに授業料3000億円を払って安倍首相が学んだこと』●『 困難は自明の北方領土交渉、過去の約束を突きつけよ ソ連だけでなくアメリカにも翻弄されてきた北方領土』★『北方領土はこうしてソ連に奪われた 日本の歴史的領土は千島列島全体だった』●『 習近平主席の改革が成功し得ない理由 中国危機は時間の問題、レーニン主義が強すぎる一党制国家の宿命(英FT紙)』●『アメリカの「核の傘」がなくなったら…を想像できない困った人たち』●『 安倍首相「真珠湾訪問」は、中国ロシアを牽制する絶妙の一手 日米ハワイ会談の正しい読み方』
日本メルトダウン(1006) 惨敗!プーチンに授業料3000億円を払って安 …
-
-
日本の最先端技術『見える化」チャンネル/2019国際ロボット展(12/18-21、東京ビッグサイト)ーいま世界中から最も注目されている日本のロボット企業。MUJINの世界初「物流ロボット化トータルソリューション展示」完全無人化とロボット工場のプレゼンテーション
日本の最先端技術『見える化」チャンネル 2019国際ロボット展(12/18-東京 …
-
-
日本メルトダウン(996)ー『プーチン大統領12/15来日』●『安倍総理の「歴史に名を残したい!という功名心、前のめり姿勢がロシア側に見透かされている』(江田憲司)★『対露経済協力に前のめりになる安倍首相の突出が目立った。 安倍首相が対露経済協力相を新設し、世耕弘成経済産業相に兼務させたことも異例だ』
日本メルトダウン(996) 北方領土交渉。ロシアの腹芸にだまされた?・・・ …
-
-
日韓レーダー照射問題にみる『異文化コミュニケーションの難しさ―『感情的』か、『論理的』かーが文明度の分かれ目』★『外交バトルの底に日中韓ケンカ作法の違いが見える』
米中貿易戦争は軍事衝突に発展する可能性は!? トランプ大統領は20 …
-
-
『世界一人気の世界文化遺産「マチュピチュ」旅行記』(2015 /10/10-18>「朝霧の中から神秘に包まれた『マチュピチュ』がこつ然と現れてきた」水野国男(カメラマン)⓶
2015/11/02★<世界一人気の世界文化遺産『マチュピチュ』旅行記 ( …
