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「オンライン決定的瞬間講座・日本興亡史」⑮』「シュリンコノミクス(縮小経済学)の恐るべき未来」①★『人類がはじめて経験する世界最先端の「超高齢少子人口減少社会」(約3人に1人が65歳以上、少子化率世界一)へあと10年』★『「AI(人工知能)ロボットによって、50%の仕事がなくなる(オックスフォード大学』★『「2030年までに日本中の業務の27%が自動化、約1660万人の雇用が奪われる』

      2021/12/19

シュリンコノミクス」の不都合な未来

  前坂 俊之(ジャーナリスト)

 

「シュリンコノミクス」とは「シュリンク」(縮小)と「エコノミクス」(経済学)を掛け合わせた造語だ。世界が直面している人口問題(高齢化、少子化、人口減少)をどう克服していくかをテーマにした「縮小経済学」のことで、世界最先端の「超高齢少子人口減少社会」の日本の政策動向をウオッチするためOECD(経済協力開発機構)は「シュリンコノミクス」のWebサイトを開設、各国は注視している。

いうまでもなく、人口統計はその国の長期計画や経済財政や社会保障、教育政策の根幹をなす重要統計である。

総務省は「敬老の日」の9月20日に高齢者白書をまとめたが、2021年の65歳以上の高齢者人口は3640万人(総人口に占める割合29.1%)、70歳以上の人口2852万人、後期高齢者の75歳以上は1880万人、100歳以上は86510人で、全人口の約7人に1人が75歳以上、約3人に1人が65歳以上という『超高齢社会』で2025年は30%、40年には35,3%に達すると見込まれている。

これを世界の高齢化率と比較すると、日本(29.1%)はダントツの世界一で ②イタリア(23・6%)、③ポルトガル(23・1%)と続き、以下ドイツ(21.7%)、フランス(20,7%)イギリス(18,6%)、米国(16,6%)韓国(15,8%))中国(11,9%)インド(6,5%)、先進国は米国。除いてEUなど各国が高齢化の問題で悩んでいることがうかがわれる。

日本の場合、高齢化と同時に子供の数は毎年減少しておりで人口構成アンバランスな「(人口逆ピラミッド社会)となっているのが大問題なのです。

今年4月の総務省発表の「こどもの数(15歳未満人口)の調査では、前年に比べ19万人少ない1493万人(男子765万人、女子728万人)で、1982年から40年連続の減少となり、過去最少となった。出生数は2016年に初めて100万人を下回わり、18年は916400人、18年は865239人、20年は840832人、2065年には約55万人にまで落ち込むと予測されている。

こどもの割合は1950年には総人口の約3分の1、1965年には約4分の1、1997年には高齢化(5.7%)を下回って15.3%となり、2021年は11.9%で世界最低となった。日本(11・9%)韓国(12,2%)、中国(16・8%)、フランス、アメリカ、西欧先進諸国(18%)、ベトナム(24%)の順で、人口減少「子供が消えた老人国家」になり果てているのです。これが一番怖い。国家、社会消滅の赤信号(危険サイン)といえます。

それ以上に,「超高齢少子人口減少日本」での最大の問題点は「生産年齢人口」の減少

 

最大の問題点は「生産年齢人口」(15歳以上から64歳)の減少です。生産人口が生産と消費の最大の担い手です。高齢者が消費の担い手になることはありません。

なぜなら、高齢者になると食欲、物欲、性欲、消費欲、生命欲、未来への希望欲などは自然と減退してくるからです。この点が若い人、経済学者、統計学者にはなかなか理解できない。筆者も年を取ってみて、特に70歳以上になって年々、体力も知力、記憶力も減退し、特に食欲が大きく減退することに初めて気が付きました。頭で「うまいもの、御馳走を食べたい」とわかい時と同じような食欲があっても老化によって胃袋の消化能力が低下するのです。いわば、脳で命令しても70年も使った老朽中古人体マシーン(身体機能)の性能半分以上ダウンしているのと同じです。

生産人口を増やすための古典的な方法論は「移民、難民受け入れです。

「移民国米国」はもちろん、西欧各国はメルケル前首相の難民受け入れ政策で、この問題を回避しました。昭和戦前までの日本は人口増に悩み、産児制限を実施、明治以来、ハワイ、米国、中南米、ブラジルに移民を送り込みました。満州国(1938年)をつくったのも「人口増対策」の一環でした。

1980年代後半から、「日本の高齢、人口減少社会」の未来図に警鐘が鳴らされ、「外国人労働者」の受け入れ、難民の受け入れが各界から提案されましたが、日本政府は一貫し拒否してきました。

移民増に対しては「介護ロボット」「工場ロボット」「作業ロボット」など各種ロボットによって「生産性を向上させればよいではないか」と今でも主張する人が多くいます。

ところが、ロボットは24時間、無賃金で働いて、生産性は高いのですが、食用は電気を食うだけで、人間ではないので食欲、消費欲は全くありまません。

新総理の10月8日の所信表明演説で述べた新資本主義なる空論の「ロボットは成長には役立ちますが、次の消費、需要を喚起する力は弱いのです。なんといっても日本の少子化に歯止めをかけることです。

総裁選前から野田聖子少子化相は「少子化こそ有事である」と主張していたが、正しく「超高齢少子人口減少日本」の恐るべき本質はここにあるのです。これまで人類が経験したことのない人口減少社会の突破法の解決は超難問です。

さらにこれに輪をかけた、難問、21世紀のAIの巨大壁が姿を現わしてきた。

「AI(人工知能)ロボットによって、50%の仕事がなくなる、というのだ。

2014年、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らの論文「雇用の未来ーコンピューター化によって仕事は失われるのか』は、20年後(2034)までに人類の仕事の約50%が人工知能やその機械によって代替され消滅すると予測した。

20マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査(2020年5月)によると「2030年までに日本中の業務の27%が自動化され、約1660万人の雇用が機械に代替される」と予測している。あと、10年後です。

つづく。

 

 - 人物研究, 健康長寿, 現代史研究

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