前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

⭐︎『湘南海山ぶらぶら日記・「地球環境異変はますます深刻化」⭐︎『豊穣の鎌倉海も海生物が激減』●『米離脱後のパリ会議の行方ははどうなる』

      2017/12/28

湘南海山ぶらぶら日記

 「地球環境異変はますます深刻化」

 ―米離脱後のパリ会議の行方

「目には青葉、山ほととぎす、初鰹」―

芭蕉と親交があった江戸の俳人・山口素堂(1642(寛永19)年~1716)が初夏に鎌倉海を眺めながら詠んだ句。素堂は同海を一望する小高い丘で、これを詠んだという。

ガキの頃から釣りキチだった老生は、この吟詠場所あたりに移り住んではや35年年余。鎌倉海はまさしく夢のような「豊饒の海」だった。

カヤックフィッシングで季節の魚が年中楽しめる。春はキス、夏はカツオ、イナダ、秋はカワハギ、冬はメバル。サバ、アジ、イワシなどは年中釣れた。

休みには和賀江島(日本最古の築港跡、国史跡)前の材木座海岸から夜明け前に一人で海に漕ぎ出す。海面では小魚がぴちぴちはねる。透明に近いブルーの海底にはカジメ、ワカメ、ホンダワラなどの海藻類がびっしり繁茂しパドルに絡みついて前に進めない。

リール竿2本を投入すると、すぐにガタガタ竿を揺らしてさかな君から魚信が来る。タイ、ヒラメ、タコなど多種類の魚が次々に遊びに来る。

わが子の通う幼稚園の夏の恒例行事の『地引網』(1980年代)にはボラ、スズキ、いわしなどで大漁だ。

古希を過ぎた今でも釣り,磯遊び、海水浴、砂浜散歩で筋トレ、ストレス発散を続けている。

この「生命(いのち)に満ちた海」は35年ですっかり変わり果てた。30年前、いや20年前までは干あがった砂浜にはヤドカリ、カニ、ウミウシなど海生物が無数に生息していた。

にげまわるカニ。踏んずけないように注意しながら歩いたほど生命に満ちていた。それが今や貝類、ヤドカリやカニ、フナムシまで一斉に姿を消してしまった。

海面上昇で広大な材木座、由比ガ浜の砂浜も3分の1は水没した。海藻類の死滅が拡大し、和賀江島、逗子マリーナ沖合の海藻群落はほぼ90%なくなった。この魚の産卵場所の喪失が根魚の減少につながった。

生命の連鎖、食物連鎖からか、今年の釣りも惨々でサバも.カワハギも釣れなかった。今年の台風21号は湘南を直撃し、岸壁や防波堤の被害が相次ぎ、海水は道路上まであふれた。これは鎌倉海の一部限定のわが定点観測レポートだが、今後の温暖化の被害拡大が心配である。


海面上昇は地球温暖化と連動している。

パリ協定(気候変動抑制に関する多国間の国際的協定)では産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えるため、今世紀後半に世界全体で排出を実質ゼロにすることを目標として、CO2の排出削減に取り組んでいる。

海面上昇の原因は、海水の温度上昇による膨張と氷河や氷床の融解による。パリ協定資料によると、1901-2010年の約100年の間に19cm海面が上昇し、21世紀中に最大82cm上昇すると予測される。
すでに、フィジー諸島、ツバル、マーシャル諸島共和国など海抜の低い多くの島国では潮が満ちると海で住宅や道路が浸水、「環境難民」がニュージーランに移民している。
日本でも、1m海面が上昇すると、全国の砂浜の9割以上が消滅する。大阪では、北西部から堺市にかけて海岸線は水没。東京でも、江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区のほぼ全域が影響を受ける、という。(以上同協定付随資料)

「ナショナルジオグラフィック日本版」(二〇一七年七月二日)によると、西南極の氷(面積はフランスの国土2倍、厚さは三千m)が溶けだしており、これがすべて海に流出すれば、世界の海水面は平均三、三m上昇すると警告している。

地球はこれまで人類が経験したことのない「未知の領域」に入った。温暖化、CO2による気温上昇は、異常気象による巨大台風、洪水、干ばつを引き起こし、食糧危機、社会的な緊張と対立を増幅し、環境戦争を誘発し、経済危機へと跳ね返る。

二〇一七年十一月六~十七日まで第二三回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)がドイツ、ボンで開催された。米トランプ政権の協定離脱後、初の会合であり、この米国ショックからか、各国はパリ協定の問題点から目をそらし取り組むべき課題を先送りした感じの結果に終わった。

気温上昇を2度未満に抑えるためにはCO2の排出を制限するだけでは達成できない。再生エネルギー(太陽光発電、風力発電、バイオマスなど)を普及して、化石燃料の使用を減らすと同時に、現在大気中に蓄積された温暖化ガス(CO2)を大幅に回収しなければならない。ところが、CO2を地中に埋める技術や、植林の面積拡大などで温暖化ガスを減らす技術はいまだに開発されていないので前途多難である。

 さらに、世界のCO2排出量(2010年時点)第三位の13.8%のアメリカが、今回パリ協定から離脱し、代わりにCO2排出量22.2%で世界一の中国がEUと組んで、パリ協定実施の先導役を務めることになった。

しかし、これまでとかく誇大宣伝、有言不実行、国際非協調主義の中国の行動スタイルがどこまで本気で実行するか注意する必要がある。

 - 健康長寿, 現代史研究, 湘南海山ぶらぶら日記

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本リーダーパワー史(670) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(52) 「インテリジェンスの父・川上操六参謀総長(50)の急死とその影響ー陸軍での川上の存在がいかに大きかったか

 日本リーダーパワー史(670) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』( …

『Z世代のための最強の日本リーダーシップ研究講座(51)』★『日本最強の外交官・金子堅太郎のインテジェンス⑦』★『ルーズベルトの和平講和工作―樺太を占領せよ』★『戦争で勝ち、外交戦で完敗した日本』

日露戦争は日本軍の連戦連勝のほぼ完勝に終わったが、その裏には、川上操六前参謀総長 …

「鎌倉ウィングサーフィンチャンネル(2023年3月9日午後5時半)-夕陽に向かって海面をトビウオとなって飛翔するウィングサーフィンは超楽しいね

ウインドサーフィンの次世代・ウィングサーフィンが鎌倉材木座、由比ガ浜でも最新流行 …

no image
日本メルトダウン脱出法(849) 『GDP統計を使った怪しい議論に要注意ー無形資産を反映せず 指標としては不完全』●『「1ミリシーベルト」の呪縛が復興を阻害するー被災地の正常化には環境基準の見直しが必要だ(池田信夫)』●『崩壊しそうでしない中国経済の不思議ー改革を先送りにして不良債権は積み上がるが・』英国とEU:英国離脱の現実的危機 (英エコノミスト誌)」 

 日本メルトダウン脱出法(849)   GDP統計を使った怪しい議論に …

no image
日中北朝鮮150年戦争史(34)★ 歴史の復習記事再録ー 日清戦争敗北の原因「中国軍(清国軍)の驚くべき実態ーもらった「売命銭」分しか戦わない中国3千年の歴史は皇帝、支配者、共産党幹部の巨額汚職、腐敗政治で今の「習近平政権」も延々と続いている。

 日中北朝鮮150年戦争史(34)                        …

★★(再録)日中関係がギグシャクしている今だからこそ、もう1度 振り返りたいー『中國革命/孫文を熱血支援した 日本人革命家たち①(16回→31回連載)犬養毅、宮崎滔天、平山周、頭山満、梅屋庄吉、 秋山定輔、ボース、杉山茂丸ら

 ★(再録)日中関係ギグシャクしている今こそ、 振り返りたい『辛亥革命/孫文を熱 …

no image
日本リーダーパワー史(760)―『北朝鮮の金正男暗殺事件がまた起きた』● 『北朝鮮』(旧李朝)の歴史は血で血を洗う権力闘争、粛清の歴史である』★『 日清戦争勃発は親日派の「朝鮮独立党」首領の金玉均暗殺が発火点となった』

 日本リーダーパワー史(760) 北朝鮮の金正男暗殺事件がまた起きた。 『北朝鮮 …

no image
百歳学入門(93)「世界天才老人NO1・<エジソン(84)の秘密>とはー発明発見・健康長寿・研究実験、仕事成功10ヵ条」①

·     &n …

no image
『Youtube鎌倉紅葉絶景チャンネル』『北鎌倉・明月院の紅葉のすべては錦秋ー(12月8日現在)』

『Youtube鎌倉紅葉絶景チャンネル』   『北鎌倉・明月院の紅葉の …

『Z世代ための異文化コミュニケーション論の難しさ②』★『日本世界史』-生麦事件、薩英戦争は英国議会でどう論議されたか②ー<英国「タイムズ」の150年前の報道><日本の現代史(明治維新からの明治、大正、昭和、平成150年)は 日本の新聞を読むよりも、外国紙を読む方がよくわかる>

2019/11/08  『リーダーシップの日本近現代史』(1 …